テーマ : 商店街間の連携促進による集客力向上に向けた調査・研究・事業について

補助事業名 令和元年度千葉県商店街振興組合連合会 広域連携事業
対象組合等 幕張ベイタウン商店街振興組合
  ▼組合データ
  理事長 山根 治仁
  住 所 千葉市美浜区打瀬2-16 パティオス17番街1Fギャラリーキキ内
  設 立 平成25年2月
  業 種 小売業、サービス業中心の異業種
  組合員 86人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 株式会社 8P design 代表取締役 石坂 陽介

背景と目的

 平成6年に幕張新都心地区の住宅エリアとして誕生した幕張ベイタウン。その翌年に、沿道へ出店している商店や事業所を組合員として、発足した任意団体の商店会を母体に平成25年に法人化を行った幕張ベイタウン商店街振興組合では、隔月で地産地消をテーマに新鮮な野菜や旬の魚が購入できる「ベイタウン朝市」。地域最大級の参加者が集う、住民から愛される「ベイタウン夏祭り」。ワインやシャンパンで街の景色を肴に楽しむ街バルイベント「プチバル・泡バル」。冬の街並みを彩る「ウインターフェス」など、様々なイベントを行っています。
 住民の皆様と繋がる手段として、商店街だより「ベイタウン・はっぴー・もーる(隔月12,000部発行)」「ベイタウン商店街LINE@(登録者数2,100人)」「ホームページ(全加盟店を掲載)」を通じて、街の魅力を伝えています。
 「ベイタウン・はっぴー・もーる」では加盟店の魅力・街の魅力を住民ライターが原稿を作成し紹介しています。一方的に店舗の売りを打ち出すのではなく、住民目線で記事を書いてもらうことで、住民の皆さんに自分ごと化してもらいながら読んでもらえる工夫をしています。「ベイタウン商店街LINE@」では、即時性のある活きた情報(タイムセール・サービスデーなど)を住民に届けることで、積極的に店舗に足を運んでもらう機会を創出しています。
 現在の「幕張ベイタウン」は街開きから四半世紀が経過し、地域住民の高齢化や新たな住民層との入れ替わりが激しく行われ、店舗エリアでは、個性的な専門店が少なくなっており塾や病院・美容院などが多くなっているため小売機能の弱体化の懸念がされております。またJR京葉線の高架を挟んだ反対側に新たな住宅街区となる若葉地区に「幕張ベイパーク」の街が開かれました。また、海岸沿いの公園にはJFA夢フィールドなどが建設され、今後、様々な環境変化が予測されます。

事業の活動内容

ウインターフェスとベイタウン 朝市2つのイベントの連携

 従来、単発で行なっていたイベントをつなげることで、住民の期待感を煽ると共に既存のイベントのマンネリ感を打破する。
 「ウインターフェス」は従来11月中旬から2月14日のバレンタインまでの期間、街のメインストリートにイルミネーションを飾って街の夜の風景を彩っていましたが、今回は2月に開催する「ベイタウン朝市」をウインターフェスのグランドフィナーレと位置付けを行いました。従来の「ウインターフェス」と異なっていることをわかりやすく伝えるため、年末の12月29日に「ウインターフェス ジャズライブ」を開催。視覚的にも訴えるため、ポスターを制作し加盟店の各店にも張り出して頂きました。その結果もあり、ライブ会場の店舗ではほぼ満席状態に来店されたお客様からは、「こんなイベントを待っていました!」「素敵な夜を過ごせました!」とのうれしい声も!2月の「ベイタウン朝市」へ繋げるとともに、参加者の満足度を上げることに成功しました。

グランドフィナーレとして街の魅力を再確認するイベントを!

 2月の「ベイタウン朝市」をグランドフィナーレと位置付け、用意をした企画は二つ。地元プロ野球球団の「千葉ロッテマリーンズ」と地元スポーツ活動団体「NPO法人 幕総クラブ」によるイベント。その理由は3つあります。1つ目は、住民に街の魅力を再確認してもらいたいからです。通常、街の魅力を考えるとき中心部にある施設や活動を考えがちですが、街を全体で見渡した時に、有力企業や様々な団体があり、街にしっかりと根付いていることの再確認。2つ目は、地元で活動する「有力企業」や「スポーツ活動団体」が一丸となり「街を元気にしたい。住民の皆さんの笑顔を引き出したい。」と考えていることをしっかりと伝える。3つ目は、新たな住宅街区となる若葉地区でも活動している企業や団体を巻き込むことで、新興街区「幕張ベイパーク」の住民へベイタウンの魅力を伝えること。上記を達成することで今後の幕張ベイタウンの活性化の足がかりにしたいと考えました。さらに、右記の話を各担当者と相談させていただき、今回のイベントのターゲット層には「ベイタウンに移り住み数年経っているご家族」、「新興街区「幕張ベイパーク」に新たに住まれたご家族」を設定し、「千葉ロッテマリーンズ」にはマスコットキャラクターの「マー君」、チアダンスチームの「M☆SPLASH」にご参加いただき、「NPO法人幕総クラブ」には「キックターゲット」、「サッカーボウリング」を行なってもらうことで家族が楽しむことのできる「ベイタウン朝市」を目指しました。

事業の成果

大人も子どもも高齢者も全世代の笑顔が見られる朝市へ

 「ベイタウン朝市」は午前8時~午後1時に行なっており、毎回2,000人程度の来場者が見込まれています。
 従来のお客さんの滞在時間は約30~45分程度、一番のピークは9時30分~10時になっており、産直野菜や旬の魚などを購入し会場を一回りしたら帰る流れになっています。今回、グランドフィナーレを飾るイベントを行うことで、イベントに参加したいというお客さんが9時前から多く来場されていました。また、滞在時間も45~90分程度に伸びています。
 具体的には千葉ロッテマリーンズの「マー君」の周りには人だかりが常にあり、子連れ家族の笑顔が多く見られました。また、幕総クラブが行なっている「キックターゲット」や「キックボーリング」にもたくさんの子どもが参加しており、300組のご家族が楽しんでいました。朝市に参加した理由を聞いて見たところ「子どもも楽しめそうだから」「いつもと違って楽しそうな印象だから」「マー君が来るから」など様々な理由でしたが、イベントがきっかけで参加されている方が多かったように感じられます。また、滞在時間が長くなることで、朝市に出店されている方々も売り上げが伸び、喜んでいただいております。参加者からは、「9時~12時30分まで人が途切れずに忙しかった!」「また、出店させてほしい」との嬉しい声もいただきました。

今後の事業展開・展望

 これらの事例を踏まえ、今後の展開として商店街だけでなく周囲の企業や団体を巻き込んだイベントや催し事を積極的に行なっていくことで、商店街・地元企業・活動団体と互いに告知をし合うことで、集客の一助になるとともに街内部の活性化を行うことができます。また、外部の様々な団体と一緒に活動を行うことで街の魅力もより一層伝えることが出来るのではないでしょうか。
 幕張ベイタウン商店街振興組合では、現在「ベイタウン〝おもてなし旅〟冊子」を制作しております。 ベイタウン内部だけでなく、周囲の観光名所やビューポイントなども地図と一緒に紹介することで、旅行者やホテルの利用者など様々な方々にベイタウンに足を運んでいただき街の魅力を伝えていきたいと考えております。
 また、「街の魅力を発信する」をコンセプトに、空き店舗を利用した企画など様々なことを思案中です。
 新興街区「幕張ベイパーク」、この春に開所される「JFA夢フィールド」。新たな街や施設に挟まれている「幕張ベイタウン」では、積極的に周囲を巻き込むことで街に活性化を促し、住民の皆様には新鮮な情報を提供していくことで、さらなる発展を促します。

(石坂 陽介)


『中小企業ちば』令和2年5月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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