テーマ : ホームページリニューアルプロジェクト

補助事業名 平成28年度連携組織活性化研究会
対象組合等 茂原卸商業団地協同組合
  ▼組合データ
  理事長 秋葉 吉秋
  住 所 千葉県茂原市小林1978-8
  設 立 昭和51年3月
  業 種 卸売業中心の異業種
  会 員 13人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 株式会社マックス ディレクター 松下 静

新たな挑戦に向けて

 茂原卸商業団地協同組合(以下、「もばらオロシティ」という)にて、平成28年5月から平成29年2月までに全9回のホームページ作成勉強会を開催しました。「ホームページリニューアルプロジェクト」と題した勉強会では、ホームページがどのような役割を果たすものであるか、またどのように運用されることを目標とするかなどをインターネット/パソコンの知識を含めて研究し、その結果を実際に盛り込んだホームページを作成するプロジェクトです。
 もばらオロシティではすでにホームページを開設しており、これまでにも組合員の情報発信がされていました。しかしインターネットの活用は常に進化を続けています。近年、スマートフォンやタブレットなどのデバイスが急激に普及したことから、職場ではパソコンを使うが、日常の中で情報を集める時にはスマートフォンでホームページを閲覧する方も多く、若い世代ではパソコン離れが始まっているとも言われています。事業情報はビジネスの現場にいる方に向けた「見やすさ」「活用のしやすさ」を目的に情報掲載を継続しつつ、これまでになかったスマートフォンに適した閲覧環境を整理。それによって地域の方により親しみを持っていただき、卸商業団地を知っていただけるホームページ作りが新たなチャレンジとなりました。

事業の活動内容

誰に・何を・どのように?

 ベースとなるコンセプトを見つけ出すため、次のリストから意見交換をはじめました。
・誰に向けた情報発信か
・ ホームページの役割(ブランディング/認知度UP/事業者情報の発信)
・もばらオロシティのイメージ
・活動の報告/告知
・ホームページのメリット
・情報の更新頻度 他
 これまでにホームページを運用して分かったことや感じたことを話し合い、問題点/改良点を提起。その中でも注目すべきポイントは独自ホームページを開設している事業者はアクセスアップのため、もばらオロシティホームページからの誘導を希望していること。それと同時に独自ホームページを持たない事業者は、もばらオロシティホームページで有益に情報を発信することを希望しているということでした。
 第一回の勉強会は、積極的な意見交換による現状把握。またデザインを作り変えるだけのリニューアルではなく、何を配信するべきなのかという課題を挙げることができるものとなりました。

■構成の具体化

 ユーザーの気持ちで他の団体ホームページを見て、良い点/悪い点を意見交換。
・名称の見やすさ
・トップページのイメージ
・ナビゲーションの分かりやすさ
・お知らせのわかりやすさ
・目にとまりやすい魅力的なお知らせの表示になっているかなど管理者の目線だけではなく、ユーザーの気持ちとなってホームページを見ることで、情報の引き出しやすさの工夫や個性を出す方法の具体的なアイデアが浮かび上がってきます。まず掲載する情報を一旦書き出します。
・組合について(ごあいさつ、概要、沿革、組織図、活動)・施設案内(アクセスマップ、配置図、会館の貸出案内)・組合員情報・お知らせ・求人情報・お問い合せ・個人情報保護方針・関連リンク集・SNS(Facebook)
 これらの一つ一つを吟味して掲載の有無やボリュームを把握していきます。
 この書き出しはさらに、もばらオロシティの個性的な要素を見つけ出すのにも役立ちました。
 もばらオロシティでは会館をレンタルスペースとして貸し出しており、また卸商業団地という特性を活かした仕出しやお弁当の対応が出来るという点が、これまでのホームページでは情報配信が弱くなっていたのです。これまでターゲットユーザーは卸業者を利用する方であり、情報も事業情報が大部分を占めていましたが、レンタルスペースは近隣の方が自由な発想で利用することができる要素です。その情報発信を強化することでより多くの新しいユーザーをターゲットとすることが出来ます。
 また、もばらオロシティのホームページが組合員様にとって有益なものとなる工夫として、求人情報の掲載、事業情報のPDF化(プリントしても使える)という具体的なアイデアについても話し合いが進みました。

■完成を目指した研究会

 構成の面からも各回にテーマを設定した表現について話し合いと研究を重ねました。
・トップページ構成とデザイン
・トップページデザイン校正/各事業者の掲載情報確認とその他ページでの写真等素材確認
・プロジェクターを使ったテストサイトの閲覧・確認
・掲載内容の収集状況/ホームページ制作状況/更新作業の手順
・ドメイン/メール
・本サーバでのテスト/サイトを有効に活用するため
・まとめと将来への展開

 事業の成果

 全9回の研究会をホームページ作成工程の一例として見た時、前記の内容からも見えてくるのは、ホームページ作成の肝となるのは始めの構成「現状の把握と情報の整理であるということです。デザイン性やイメージに捕らわれやすい傾向が多く見られますが、掲載内容の話し合いがしっかりと行われることで将来の展開に期待できる仕上がりとなることでしょう。
 また最も労力を必要とする箇所は掲載情報の収集です。そのためスケジュール管理とは役割を分けることで、ホームページはスムーズに作成することができるのです。
 このプロジェクトが多くの方にとって、既存のホームページがどのような働きをしているか、良い点/悪い点を見直し、ユーザーの目線となって何を配信すべきかチェックしてみるきっかけとなることを願います。

 もうひとつの勉強会

 勉強会ではホームページ作成の内容だけではなく、インターネットやパソコンに関する勉強も行いました。
・ パンダアップデート/ FlashPlayerゼロデイ脆弱性
・ 無線LANとWi-Fi / プロバイダーとホスティングサーバー/クロール
・ HTML / META / SEO・SNS
・ メールのビジネスマナー(特殊文字、添付ファイルサイズ、ウィルス対策)
 この中でも最も関心が集まったのは「ウィルス」に関連する内容でした。ウィルスを防ぐため、広げないための知識と対策。あるいは既に増えてしまった迷惑メールの対処法等、実際にパソコンを持参して設定の確認を行う方もいました。「気にはなっているがそのままにしている」という方もたくさんいる事でしょう。今回の企画をきっかけに、設定の再確認や今後の課題を明確にして定期的な見直しを行っていただきたいと思います。
 私自身、日々進化し続けているインターネットという文化に振り回されないためにも、コントロールできる知識は共有し、学び続けることの大切さを常に意識したいものです。

(松下 静)


『中小企業ちば』平成30年1月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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