テーマ : IT、SNSの活用による販売促進

補助事業名 平成29年度連携組織活性化研究会
対象組合等 臼井ショッピングセンター協同組合
  ▼組合データ
  理事長 鳥羽 敏彦
  住 所 千葉県佐倉市王子台1-23
  設 立 昭和59年3月
  業 種 小売業
  会 員 13人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 株式会社スプラム 代表取締役 竹内幸次(中小企業診断士)

大きく変わる小売経営環境

 当ショッピングセンターがスタートして30年以上が経過しています。当地に限らないことですが、地域住民の高齢化が進み、同時に組合員小売業の経営者年齢も徐々に上がってきています。ショッピングセンターとしてのホームページはあるものの、一部の会員を除いて情報更新はなく、新規顧客の獲得にホームページが生かされていない状況が続いています。
 また、世界的に進む第4次産業革命(IOT、ビッグデータ、AI、ロボット)の中にあって、小売業の経営も大きく変わろうとしています。単にネット通販サイトの普及のみならず、新規顧客を得るためのチラシ等の手法の変化、顧客を囲い込むためのポイント制度のデジタル化等、まさに小売業の〝稼ぎ方改革〟が進んでいるのです。

情報受発信力が大切な時代に

 毎年春に発行される中小企業白書の2017年版では新事業展開(新市場開拓戦略もしくは新製品開発戦略)の成功と不成功の違いがレポートされました。
 それによると、成功と不成功の差を生む要因は「マーケティング」であることが整理されています。具体的には、図にあるように「販路開拓」や「市場ニーズの把握」、「情報発信」がとくに成功と不成功を分けるのです。

ITとSNSを活用したい

 臼井ショッピングセンター協同組合では定期的に勉強会方式で今後のショッピングセンターや小売店の経営にプラスになるITやSNSのことを実践的に学びました。主な事項を説明します。

グーグルトレンド

 世界中の人が毎日検索で使うのがGoogleです。検索=情報へのニーズですから、Googleにはどのようなキーワードが、どの国で、どのような趨勢で欲せられているのかの情報が集まっています。
 その世界のニーズ情報を見ることができるサイトが「Googleトレンド(https://trends.google.co.jp)」です。以下の例示は経営者が今後の重点事業を定める際に、コーヒーがよいのか、それとも紅茶がよいのかを考えている際のイメージです。「コーヒー」の検索数は過去1年間で増加していることが分かります。また、「珈琲」という文字よりも「コーヒー」という文字の検索数が約2倍あることが分かります。さらに、「コーヒー」検索をもっともした地域(都市)が分かります。これにはびっくりです。
 このように、Googleトレンドはネット検索の趨勢から、市場ニーズを把握することができるのです。

人工知能を使ったHP

 近年のホームページはCMS(Contents Management System)と言われるログインタイプのものが主流です。また、URL(アドレス)はhttpではなく、httpsという安全性が高いアドレスが主流です。さらにパソコンでもスマホでも画面サイズに応じて最適なレイアウトに自動的に変換されるレスポンシブルウェブデザインが一般的です。これらは、「ワードプレス(https://ja.wordpress.org/)」や「ジンドゥー(https://jp.jimdo.com/)」で簡単に実装することが可能になりました。

 また、2017年はA I(ArtificialIntelligence=人工知能)を使った「チャットボット」という機能が普及し始めています。例えば横浜市役所の資源循環局では、ホームページの右下に人工知能を使ったチャット画面を設置しています。「ペットボトル」と入力すると、AIが自動的にチャット(会話)文を返してきます。
 人手が少ない中小企業はこのようなチャットの仕組みを付けることも有効です。

ホームページの役割

 ホームページやブログ、各種SNS等、どれも有効な情報発信ツールですが、最近の傾向として簡単に投稿できて、レスポンスも楽しいSNSの活用が多くなっています。しかし、企業がビジネスとして、情報発信する際には、やはりホームページがもっとも重要です。ここでは経営効果を生むホームページのあり方を整理してみましょう。

(竹内 幸次)


『中小企業ちば』平成30年5月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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