テーマ : 時代を見据えた中長期組合ビジョンの策定について
補助事業名 | 平成25年度連携組織活性化研究会 | |
対象組合等 | 野田市商業協同組合 | |
▼組合データ | ||
理事長 | 仲長 孝 | |
住 所 | 野田市中野台168-1 野田商工会議所内 | |
設 立 | 平成6年8月 | |
業 種 | 小売業、飲食業中心の異業種 | |
組合員 | 158人(平成25年6月現在) | |
担当部署 | 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284) | |
専門家 | 有限会社商店街情報センター 樋口 泰雄 |
背景と目的
野田市商業協同組合では、2013年(平成25年)9月から11月にかけ、5回にわたり、千葉県中小企業団体中央会の支援(平成25年度連携組織活性化研究会の指定)を受け、ポイントカードリニューアル研究会を開催した。
主な目的は、ポイントカードシステムのリニューアル。併せてこれを機会に独自のポイントカードを実施している野田市本町商業協同組合との統合や今後の事業運営の方向性検討も目的とした。
事業の活動内容
▼リニューアル検討の背景 端末老朽化と発行団体の統合
野田市商業協同組合(以下、野田市商協と略)が、ポイントカード事業のリニューアル研究に踏み切った第一の理由は、ポイントカード加盟店端末の老朽化対策だった。
野田市商協は、共通商品券発行を目的に、1994年(平成6年)8月に設立され、その5年後の1999年(平成11年)10月に、有志でポイントカードを開始した。その時に導入したポイントカード端末は14年近く経過し、故障の頻度も増え、部品補充も困難になるなどの理由でシステムを更新することにした。
併せて、野田市本町商業協同組合(以下、本町商協と略)のポイントカードとの一本化も検討テーマとした。
本町商協は、野田市中心部の本町地区有志で構成される団体で、野田市商協がポイントカードを始めるかなり前からスタンプシール事業や金融事業などを展開していた。
加盟店は本町地区に限定されているなどで、市内全域に加盟店が散在する野田市商協より発行規模は小さい。ポイントカード化したのは、野田市商協のポイントカード開始とほぼ同時期。システムも野田市商協と同じメーカーのものにした。
本町商協のポイントカード扱い店は全て野田市商協の加盟店であること、消費者の利便性、事業の運営などを考慮すればポイントカードの一本化は当然ともいえる課題だ。
研究会メンバーは、野田市商協と本町商協の理事数名、野田商工会議所事務局長、千葉県中央会、そして筆者で構成した。
事業の成果
▼検討結果 機能、サービスは従来通りに
カードのサービス機能については、ポイントサービスのほか、クレジットやプリペイド、キャッシュカードでの決済機能などもあるが、コストや加盟店のニーズなどから、ポイントサービスのみとした。
野田市商協としての顧客情報収集は従来通り行わないことにした。
ポイントサービスの内容や加盟店負担は従来通り(次項表参照)。
以上の前提で、端末やカードの選定を行った。地域商業団体への導入実績上位2社から見積もりを出してもらい、それぞれの担当者に、ポイントカードのシステムや運用事例などについて説明会を開いた。
結果は、機能や価格はほぼ同様だったことで、従来のメーカー(日本カード株式会社)のシステムを導入することにした。
カードの名称やデザインはほぼ従来通り。変更するのは、カードの色を変える程度。更新時期は、2015年1月から。消費者が保有する現行ポイントカードは同年3月まで有効、端数分は新カードに差し替えられる。
更新経費は400万~500万円程度。
Pカード一本化は見送り
本町商協とのポイントカード一本化については、「今回は見送り、今後の課題」となった。
総論では一致したのだが、財務体質の違い、役員の一本化への温度差、ポイントサービスの違い(100円買上に1ポイント進呈、満点で500円は共通だが、本町商協は300ポイントで満点、野田市商協は400ポイントで満点)などが理由だ。
今後の事業展開・展望
▼今後の課題
野田市商協ポイントカードの今後の課題としては、取扱店の増加、消費者がよりポイントを集めたくなる付加価値向上、ポイントサービスの付加価値、取扱店の活用支援、運営組織の強化・情報発信の充実などがあげられる。
取扱店の増加
約30店という現在の取扱店数は、小売店だけで721事業所(2012年経済センサス)、市内面積約105平方キロ、人口約15万6千人(今年9月現在)の割には少なすぎる。経営者の高齢化や後継者難、売り上げ低迷などで苦しむ店舗が多いのは他都市同様だが、顧客とのコミュニケーション、来店促進効果が比較的少ない負担で期待できる共同事業でもあり、さらなる取扱店拡大努力が期待される。
付加価値向上
ポイントを集める消費者を増やすことが加盟店の拡大にもつながる。そのためには、ポイントの付加価値を高めることも重要だ。現在は、加盟店で500円相当の金券として使えるほかには、満点カード抽選会を年1回程度。
PTAその他の地域団体へポイントカードとからめた活動支援、野田市商協共通商品券との連動など地域のポイントカードならではの付加価値づくりが考えられる。加盟店の多くは、地域の様々な団体のメンバーであり、役員との人脈もある。それらを生かすことが期待される。
個店活用支援&組織強化
個店のポイントカード活用支援のため、活用事例等の調査・紹介・資料作成・配布や講習会開催、その他の情報発信強化も望まれる。
以上の様々な課題解決には、ポイントカード事業の現状を分析、活性化策を検討する組織運営が課題となる。超多忙な役員が多く、会合もなかなか開けない現状だが、改革を期待したい。 (樋口 泰雄)
『中小企業ちば』平成26年10月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)