テーマ : 時代を見据えた中長期組合ビジョンの策定について

補助事業名 平成25年度組合等新分野開拓支援事業
対象組合等 船橋機械金属工業協同組合
  ▼組合データ
  理事長 板谷 直正
  住 所 船橋市栄町2-14-12
  設 立 昭和34年12月
  業 種 金属製品製造業
  組合員 43人(平成26年3月現在)
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 ㈲アサートアンドトラスト 代表取締役 大矢 たかし(中小企業診断士)

背景と目的

 当組合は、昭和36年(1961年)に、「中小企業振興資金等助成法」の助成工業団地第1号として活動をスタートさせており、今日までに50年超の歴史がある。この間、組合及び組合員企業においては、様々な困難に直面しながらも、一致団結して乗り越えてきた。しかしながら、50年という歳月が経過する中で、組合員企業の世代交代が進み、組合として、より具体的かつ効果的な組合事業の実施を進めるほか、東日本大震災によって被害を受けた組合施設の完全復旧の早期実現等、これまで想定をしていなかった課題が組合員企業から投げかけられた。そこで、当組合においては、個別の課題に対応する前に、今後組合が進むべき方向性を予め明確にするべく、組合員企業等の組合に対する要望・課題を洗い出し、その対応策や優先順位について検討する必要が生じてきた。組合にはハード面、ソフト面での複合的な課題を抱えているので、中長期組合ビジョンを策定し、組合員及び関係機関等と問題意識や対策の必要性を共有することは有意義であると考えた。このような背景及び目的のもと、当組合は「時代を見据えた中長期組合ビジョンの策定について」をテーマとして、千葉県中小企業団体中央会が実施する平成25年度組合等新分野開拓支援事業に取り組むことになった。

事業の活動内容

 今回の研究委員会は、平成25年6月26日からスタートし、平成26年2月20日までの全12回の開催となった。
 平成25年度の具体的な取組みとしては、①組合員に対するアンケート及びヒアリング調査、②将来の組合員予備軍であるインキュベーション施設入居者に対するアンケート調査、③防災拠点を兼ねた共同工場の建て替えに関する検討、④中長期組合ビジョンの策定の順番で進めていった。

①組合員に対するアンケート及びヒアリング調査

 現在、組合で行われている8つの主たる事業(ⅰ共同受注事業、ⅱ共同施設利用事業、ⅲ共同駐車場事業、ⅳ共同金融事業、ⅴ教育情報事業、ⅵ福利厚生事業、ⅶ労務管理事業、ⅷ護岸・会館復旧事業)についてその認知度・利用状況等を確認するとともに、組合の抱えるハード面の5つの課題(ⅰ共同工場のリニューアル、ⅱ護岸問題の解決、ⅲ下水道の敷設、ⅳ都市ガスの導入、ⅴ団地内境界の確定)、3つのソフト面の課題(ⅰ組合員の加入促進、ⅱ組合交流会(新規参加者の促進)、ⅲ若手育成)等について意見や要望を集約した。この作業を通じて、組合員が知らない事業が多くあることが判明し、組合事業の啓蒙の必要性が再認識された。また、共同工場の防災拠点化については、賛同する意見が多く寄せられた。

②将来の組合員予備軍であるインキュベーション施設入居者に対するアンケート調査

 ベンチャープラザ船橋入居者、千葉市ビジネスインキュベーション施設入居者、東葛テクノプラザ入居者に対して、現状の事業内容、インキュベーション施設卒業後の予定、当組合の認知度等に関するアンケートを行った。併せて、ベンチャープラザ船橋では、チーフインキュベーションマネージャーから入居者の生の情報を入手した。
 インキュベーション施設では、入居期間に限りがあり、卒業後の移転先確保が重要な問題となっている。当組合が予定している共同工場建て替えの暁には、その受け皿と成り得ることが確認されたが、駐車場の確保、交通の便や買い物の利便性向上などの課題も明らかとなった。

③防災拠点を兼ねた共同工場の建て替えに関する検討

 共同工場の建て替えに向けては、組合員の利用を第一に考えるとともに、防災拠点としての機能を付加することも併せて検討した。限られた予算を意識した検討を繰り返し、予算や仕様等に関して、組合としての基本的なプランをまとめることができた。
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④中長期組合ビジョンの策定

 本事業では、新規会員の獲得、ベンチャー企業の誘致等を念頭に置きながら、魅力ある組合を目指して検討を重ねた。その中で、ソフト、ハードの課題を設定して、特に防災拠点としての機能を備える共同工場の建て替えを主要な研究テーマとして、基本となるプランの作成までを行うことができた。これを踏まえて、本事業の最終目標である「時代を見据えた中長期組合ビジョンの策定」について、平成31年度が組合創立60周年を迎えることを意識して、「船橋を代表する一大ものづくり拠点として発展し続けるための中長期ビジョン」を5カ年計画でまとめることとした。

事業の成果

 事業の成果のひとつは、左記の中長期組合ビジョンに基づいた5カ年計画である。
 ソフト面、ハード面、その他の課題について本研究会の成果を踏まえて、いつまでに何をするかをまとめた表となっている。

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今後の事業展開・展望

 船橋機械金属工業協同組合は、本事業を通じ、個別の課題に対応する前に、今後組合が進むべき方向を予め計画にした。組合にはハード面、ソフト面での複合的な課題を抱えているので、中長期組合ビジョンを策定し、組合員及び関係機関等と問題意識や対策の必要性を共有できるようにしたことは極めて有意義である。
 今後、具体的に事業を推進していくためには、①境界の確定に関する現実的な対策を研究していくこと、②防災拠点を兼ねた共同工場建て替えのために有効な補助金や建設協力金、等価交換等のコスト低減につながる手法を調査し、実際に取り入れていくこと、③行政(特に船橋市)との連携を密にし、可能な限り協力を仰ぐこと、などが必要となる。いずれにしても、当組合が、本事業の成果を活かし、日本のものづくりを支えていく活気ある存在であり続けることを願ってやまない。(以上、事業抜粋)(中小企業診断士 大矢たかし)


『中小企業ちば』平成26年9月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)