テーマ : 組合の情報発信力の強化策について

補助事業名 平成25年度連携組織活性化研究会
対象組合等 高滝湖観光企業組合
  ▼組合データ
  理事長 末吉 悟郎
  住 所 千葉県市原市高滝188
  設 立 平成 3 年 4 月
  業 種 スポーツ・娯楽用品賃貸業
  会 員 14人(平成25年6月現在)
  U R L www.chuokai-chiba.or.jp/takatakiko/
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 ㈲草の実工房すずき印刷 代表取締役 鈴木 宏治

背景と目的

 昨年4月に車で5分程のところに、圏央道の市原鶴舞インターが開通した市原市の山間部に位置する高滝湖(たかたきこ)。近隣には市原ぞうの国、市原湖畔美術館などのレジャー施設も有り、県内や首都圏のみならず、東日本各地から集客する観光エリアとなりました。
 高滝湖観光企業組合(以下、当組合)は、養老川に平成2年に建設された人工湖でおもに〝貸しボート業〟を営む組合です。春夏はブラックバス、秋冬はワカサギ釣りがボートで楽しめ、釣り人に混じってスワンボートなどで遊覧を楽しむ家族づれも見受けられます。

●月間2万件以上のアクセス

 当組合のホームページ(以下、サイト)は平成11年の開設より、延べ232万の訪問者数で、近年は月間平均アクセス数が2万件を超えています。この数字は千葉県中央会サーバーでサイトを開設している組合ではトップで、現状では成功している組合ですが、組合員の世代交代による承継、作業負担軽減の必要性、情報発信者側と閲覧者双方の活性化・強化をめざす目的で研究会を開催しました。

事業の活動内容

①ヒットの要因を分析

 当組合サイトは開設以来、毎週のように更新されており、数ヶ月~数年も放置されることもある多くの会社や組合とは異なっています。
最大の集客コンテンツは「釣果(ちょうか)」です。毎日の釣れた情報を掲載することにより、明日の集客へとつなげています。お客様は高滝に来るか、他の釣り場へ行くべきか、どんな道具を持参し攻略するか等々、事前に情報を収集し、多くの情報発信によりリピート率が向上しているようです。
また、毎月のように開催される釣り大会の結果と、表彰者の写真掲載も多く閲覧されています。「釣り大会に出場したら表彰されちゃったよ。写真がこのページに載ってるんだ」と、人が人を呼ぶ様が想像して頂けると思います。

②ページ訪問者を分析

 当組合の貸しボート利用者は、ほぼ個人ユーザーで、事業者・法人向けではありません。ここに当組合が「誰にどのように情報発信するのか」を考えるポイントがありました。高滝湖に釣りに来る主要顧客の年齢は20~50才代です。ブラックバスに絞るとその年齢層はさらに若年化します。当事業では組合と顧客のジェネレーションギャップを埋めることにも取り組みました。

③環境の変化を考察する

 日々変化しているネット環境。デスクトップパソコン、ノートパソコン、携帯電話、スマートフォン、タッチパネルでおなじみのタブレット端末はもとより、ゲーム機器やテレビ、電化製品(冷蔵庫・エアコン・掃除機!)までもがネットに接続されはじめている時代に「旧態依然のホームページ」ではおのずと限界と不便さが目立つのでは?と言う、いささかセンセーショナルですが、多くの組合員さんも腑に落ちるであろう環境変化に対する考察と体験を委員会で行いました。 iPadなどのタブレットを実際にさわり、スマートフォンや無線LAN経由で様々なサイトやサービスを知り、当組合に求められる情報発信事業について考察しました。

④ネットからの集客成功事例

 続いてワカサギ・ブラックバス釣りに関する同業他社の動向を知ろう、と事例を学びました。
 幸いなことに現地に赴くまでもなくネット上に多くの情報と事例が公開されており、3回に及んだ当研究会でも全国の事例を知ることが容易で、その上「ネット利用者側の立場」も体験することができました。
 実際には、甲信越地方のワカサギ釣りボート業者に関する成功事例や、全国チェーンの釣具店による情報発信の状況把握と分析などを行い、当組合利用者は他にどのような情報を見ているのか、どんなニーズがあるのか、ネット上での集客効果を学びました。

⑤スマートフォン対策

26-07-01 個人消費者向け情報発信は、スマートフォン(スマホ)に対応しているページへのアクセスが増加しており、サイト作成はスマホ対応が必須となっています。
 ひと昔前「会社も組合も(パソコンの)ホームページを持たなくちゃダメだ!」と大騒ぎしていた時代が、実は再びやって来ています。あの頃も、やはり早くはじめた所しか恩恵を受けませんでした。YAHOO検索登録サイトにアクセスが多くあった事などが良い例で、今はグーグル検索結果ではスマホ対応ページが高評価されはじめており、SEO効果も有ります。
 当組合を利用している多数が若者で、スマホユーザーである以上、スマホ対応の必要性を、既存ページとデモページをスマホやタブレットで閲覧し、ツイッターやフェイスブックなどとあわせて実際に比較体験しました。

事業の成果

①情報更新に係る課題の抽出

 当組合のサイト更新にかかる作業負担はとかく一部の役員さんに偏りがちでした。
 どんな手段で更新?から始まり、誰が?いつ?どんな情報を掲載することが可能か?…。現状を再点検し、課題を抽出しました。
 組合サイトのコンテンツを精査し、出来るだけ組合での作業を軽減化しつつ最新の情報を提供できるWEB用ガジェットのデモンストレーションを行い、今後の方向性を検討する起点となりました。

②ひと昔前……からの脱却

26-07-02 当組合サイトは数年前の古いバージョンのホームページビルダーを使用し、組合自身で更新作業を行ってきました。ビルダーは昨秋にはver18まで進化し、スマホ対応はもとより、ツイッターやフェイスブック等SNSとの連携、ワードプレスなどCMSが比較的容易に編集出来るようになっており、新機能について学びました。
 バージョンアップに無関心であったり、対法人(PC)向けで事足りているサイトと違い、対個人向け情報発信には「ひと昔前の方法」での対応が組織発展を妨げかねない時代となり、組合サイトの大幅なリニューアルが必要であることが研究会参加者の共通認識となりました。

今後の事業展開・展望

 研究会後、当組合サイトは組合員の手によるリニューアルが始まっています。組合ならではのスケールメリットを発揮し、時代に即した情報発信が今後も可能となり、地域の活性化を含めた展開が期待されています。
(鈴木 宏治)


『中小企業ちば』平成26年7月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)