テーマ : 新たな土地取得に伴う新規事業の検討

補助事業名 平成27年度連携組織活性化研究会
対象組合等 流山工業団地協同組合
  ▼組合データ
  理事長 高橋 啓治
  住 所 千葉県流山市西深井大堺1028-46
  設 立 昭和61 年6 月
  業 種 製造業
  会 員 15人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 中小企業新診断士 安藤 孝

背景と目的

 流山工業団地協同組合は流山市唯一の工業団地として、昭和61年6月に協同組合が結成された。
 当初高度化融資で始まった上地・建物の取得費用の返済は途中商工中金融資に変更され、平成23年に返済期限(償還期限)が到来して、全ての返済は完了し、これにより組合としての重要事業であった返済に係る業務も完了した。
 従来まで組合は共同受電事業や購買事業、共済事業など幅広く事業活動を行っているものの、返済に係る業務が終了したことで、新たな役割を求めて、新規事業を検討する必要があった。このため平成25年度より組合内の事業委員会において千葉県中央会の協力を得ながら、新規事業の探索に向けた研究を行ってきた。
 平成25年は実施可能性のある事業について、学識者を呼んでの講演会や委員による自由討議などを通して検討を行った。この結果、以下のような事業を案として検討していくこととなった。
①賃貸倉庫事業
 貸し倉庫業は組合員企業の中に倉庫スペースが欲しいという要請があり、その要請に答えるためのものでもある。
②創業者向け事業所賃貸
 柏ベンチャープラザなどの卒業生企業を受け入れるための小規模事務所、研究所、工場を建設し、賃貸する。
③植物工場による野菜の生産販売
 完全人工光などによる植物工場を建設し、野菜などの生産販売を行う。
④保育園の運営
 主に工業団地で働く子育て中の人たちのための保育園を運営する。
 この四案について検討した結果、創案者向け事業所はニーズが大きくない、植物工場に関して千葉大学園芸学部の植物工場の視察やレクチャーを受けたが、相応の規模が必要であり、また育成に関する技術的なノウハウも必要とされ、収益を上げるまでに時間を要する。また、保育園は設立や運営に関して許認可などの各種規制があり、人員確保の面でも自主運営は難しいことが分かった。
 この結果①について事業可能性を追求することとした。この方針に沿って平成26年度に継続して賃貸倉庫事業の検討を進めた。この当時、工業団地の南側に約900坪の土地を確保できそうな情報もあり、その土地活用を含めて事業計画を検討した。

201703-1千葉大学植物工場視察

事業の活動内容

 平成26年末においては南側用地に大規模物流倉庫が建設されることが決定し、倉庫用地として考えていた南側用地900坪は入手できないこととなった。更に27年になって、工業団地南側の駐車場が平成27年9月30日をもって利用できなくなることとなった。それまで、共同駐車場として使用していた場所は5ヶ所(駐車可能台数374台)あり、南側駐車場はこのうちの一つで106台の収容能力があった。この問題に対応するために平成27年度の事業委員会において、新たな駐車場の候補として、工業団地東側の土地(800坪、100台程度収納可能と考えられる)を賃貸、又は購入できないかの検討をすることとなった。
 また、東側の上地の賃貸(購入)に合わせて、工業団地内の駐車場用地を整理し、より有効な土地活用を目指して新規事業ができないかも検討することとなった。
 これらの検討を行うために事業委員会に研究会を設置し、4回に亙って以下の活動を行った。
①駐車場利用に関するアンケート調査
 駐車場を東側用地に移転する場合、各社事業所との距離が長くなるため各社の意見を聞く必要がある。また、組合として各社の駐車場の使用状況(自社スペース内の駐車場を含めて)を正確に把握できていなかったこともあり、アンケート調査を行うこととした。この結果は以下の通りであった。
・駐車場のニーズは将来とも現状と大きく変化しない。量的増減は少ない。
・東側用地に駐車場を移転することに関して概ね問題は無いようであるが、駐車場への通路、街燈、事故対策など環境面の整備は必要となる。
・駐車場を東側用地に移転した場合の団地内用地の使い方に関しては貸し工場や貸し倉庫、企業誘致などは概ね賛同を得られたが、駐車場も残したいと言う意見が多かった。
・アンケートの中で倉庫のニーズを聞いたところ、3社から希望が出された。(面積は3社合計700~800平米)
②東側用地人手の場合の課題検討
 東側用地の地目は山林であり、流山市の都市計画法によるプランでは市街化調整区域になっている。従って土地利用には一定の制約があり、流山市からの以下の情報収集を行った。
・上地利用について
 市街化調整区域なので倉庫などの建物の建設はできない。現状の駐車場であれば問題ない。
・駐車場に出入りするための道路の拡幅
 現在図面上は4メートルになっているが、実際の道路は2メートルである。4メートルに拡幅することは問題ない。
・斜面緑地の樹木伐採
 駐車場はやや高台になっており。斜面に樹木がある。樹木伐採については地権者と流山市で協定が結ばれているが、伐採の可否は地権者の判断に委ねるとのことであった。
 以上の情報から事業委員会としてのこの時点での結論(仮)は以下の通りとなった。
①(東側用地が入手できた場合)駐車場用地として使用する。
②併せて、駐車場への進入路の拡幅工事、街路灯の設置などを行う。
③団地内に一定数の駐車場を残す。
④また、団地内の駐車場跡地の活用方法については、共同倉庫の建設、企業誘致用地などとしての整備などが考えられ、今後検討する。

 事業の成果と今後の課題

 流山工業団地協同組合は平成28年6月に結成30周年を迎えた。この問、内部環境、外部環境共に大きく変化した。南側に大規模物流基地が建設中であり、西側は道路、北側は利根運河で、工業団地としての拡張余地は東側用地が唯一のものとなっている。一方で、物流業者が東側用地を借り受けるとの情報もあり、このままでは外部環境が固定化されるリスクがあった。このため平成28年2月の組合全体会議において、「具体的な収益計画の検討及び用地取得に向けた行動の可否」について審議されたが、明確な結論を得るに至らなかった。
 事業委員会としては、今後の対応方針を明確にしていないが、継続して検討する場合、検討課題としては以下の事項が考えられる。
①地権者へ売却する意思があるか否かの確認を行う。
②東側用地の駐車場案を詳細化する。(道路拡幅、樹木伐採など)
③工業団地内の駐車場跡地の活用方法(賃貸倉庫など)を検討する。
④計画全体の収益計画を作成して収益計画・資金計画や組合員の負担を確認する。
 今回の検討を通して、巨大物流倉庫建設に伴う当工業団地への影響など、流山工業団地の置かれている環境や今後考えるべき事項など幅広く検討できた。これらは今後の協同組合運営に役立つものと考える。

(安藤 孝)


『中小企業ちば』平成29年3月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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