テーマ : 三方よしの〝得する街のゼミナール〟

補助事業名 平成26年度連携組織活性化研究会
対象組合等 稲毛商店街振興組合
  ▼組合データ
  理事長 若井 雅喜
  住 所 千葉市稲毛区稲毛東2-4-7
  設 立 昭和 38 年 6 月
  業 種 小売業、飲食店中心の異業種
  組合員 52人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 岡崎まちゼミの会 代表 松井 洋一郎

背景と目的

27-12-01 千葉市稲毛区にある稲毛商店街振興組合はJR稲毛駅から西に進み京成稲毛駅を中心とした近隣型商店街である。近くには稲毛浅間神社があり、毎年大祭の7月15日には沢山の参拝客が訪れる。
 商店街活性化への取り組みとしては、専門店の集団価値を高めるために「一店逸品運動」を展開しており、地域コミュニティの価値を創出するために「稲毛あかり祭夜灯」を継続的に開催している。稲毛商店街の積極的な活動は幅広く認められ中小企業庁の新・がんばる商店街77選に選ばれている。
 いなげ逸品の活動は先進的であり逸品研究会、商品選定ばかりでなく、ポップ教室なども併用して行われ、お店めぐりツアーや逸品フェアを開催し商店街の逸品の周知に努めている。効果としては会員相互の関係強化はもちろんのこと、自店の見つめ直しやお客様との関係を見直すことが出来ている。
 昔、稲毛の浜で行われていた「夜とぼし漁」の風景を現代の稲毛に蘇らせることは出来ないか、と地域コミュニティの価値を創出するために平成18年12月に始まった稲毛あかり祭「夜灯」は毎年多くの来街者があり事業者と住民一体となった催しとなっている。
 こうした活動により地域の連携が進み、にぎわい朝市、ご当地キャラクター「夜灯姉さん」「Mr.夜灯マン」、そして稲毛B級グルメ「ふうかしコロッケ」の創出にも至った。
 こうした活動は、商店街内また地域連携事業として大きな成果を残した。しかしながら稲毛商店街の商業地としての環境は周りに増え続ける大型ショッビングセンターや近年のネット販売の影響から全国同様に通常の来街者、新規客の創造に厳しい局面を迎えていた。
 その様な中、全国的に個店と商店街の活性化に成果を得られている『得する街のゼミナール』(通称:まちゼミ)の導入を検討するに至った。まちゼミ事業導入により、個店においては新規顧客創造を図り、商店街においては顧客の回遊化を図り日常の来街者獲得に向かった。「まちゼミ」により更にお店と街のファンづくりを進める挑戦である。

事業の活動内容

 〇まちゼミとは

 〝まちゼミ〟とは愛知県岡崎市の中心市街地の商店街で始まった事業である。現在では全国に220箇所程に広がり、実施地域の評判から増え続けている中心市街地、商店街活性化事業である。全国的に事業は継続しており、一過性に成果は出ない地味な事業ではあるもの個店のファン創りから新規客の獲得が見込まれる事業である。
 千葉県内では、松戸市新松戸(得する街のゼミナール まちゼミ新松戸)、野田市(野田まちゼミ)、船橋市アイラブふなばし(船橋まちゼミ)、船橋市西船橋(西船橋まちゼミ)、船橋市海神(海神まちゼミ)、香取市(佐原まちゼミ)、流山市(流山まちゼミ)、市川市(市川まちゼミ)、柏市光ヶ丘(ぴかっと光ヶ丘まちゼミ)、柏市松葉町(松葉町まちゼミ)、君津市(きみつまちゼミ)、そして千葉市稲毛(稲毛〝得するまちのゼミナール〟)と11個所で継続的に実施されている。【参照:岡崎まちゼミの会HP http://machizemi.org/】

事業の成果

 本年度も千葉県内で3地域が新たな開催に向けて現在準備を進めている。千葉県内でまちゼミが始まる多くのきっかけは「ふさの国商い未来塾」(主催:千葉県中小企業団体中央会 後援:千葉県)での研修会である。18年間続く商店街関係者、支援者に対して全国的な商店街活性化ノウハウや経済、商業政策の座学研修を毎年行っている。この研修会にて稲毛商店街振興組合専務理事 海宝周一氏(㈲稲毛園内)とご縁をいただいたのが稲毛まちゼミの開催のきっかけである。全国的に見ても千葉県において商店街を牽引するリーダーが多く、活発に商店街活動に取り組む地域が多いのはふさの国商い未来塾の成果と言えよう。
 まちゼミ事業の内容は商店街の商店主、スタッフが講師となり、プロならではの専門的な知識や技術、コツを無料でご予約いただいた少人数(2~5人程)の受講者(お客様)にゼミナール形式でお伝えし、商店街最大の魅力である「人」のファンになって貰うことが出来る事業である。開催場所は基本的に自店内(別会場もある)で行い販売行為や勧誘などは一切行わない。1時間~1時間30分近くの時間を店主とお客様が共有する。まずは受講者(お客様)に喜んで満足いただけるゼミを第一に考える事業であり、ご満足いただいたお客様の多くはお店や店主のファンとして、後日お買い上げいただける場合も多く、新規のお客様になっていただけることがこの事業の特徴である。結果的に商店街の個店の活性化はやがて面になり街そのものの賑わい創りに貢献することになる。 

〇継続実施、高い成果を出す為に参加商店主全員で実施に向けての講習会、勉強会の開催(全4回)

27-12-02 稲毛商店街にてまちゼミ事業立ち上げに際して、今回4回の研修(岡崎まちゼミの会 代表 松井洋一郎)の設定、およびEマネージメント研究所 所長 江波戸勝氏のサポートを得て実施に向かった。4回の研修は昨年8/10(日)に『まちゼミ入門編』として概要や全国事例の研修会を行った。9/12(金)には『まちゼミ実践編』として具体的な実施に向けてのノウハウ取得を進めた。12/16(火)には『まちゼミ実践編②』には個店の効果を上げるための研修、ディスカッションを行った。1/11(日)に『まちゼミ事前説明会』を行い、成果を導く為の最終調整を行った。
 事業実施に向けての研修会には「一店逸品運動」や「夜灯」などの活動の成果から商店主の結束力と意欲は高くノウハウの取得は早かった。
27-12-03 稲毛〝得するまちのゼミナール〟の継続開催、そして展望 第1回目の稲毛〝得するまちのゼミナール〟は本年4/2~4/30の期間で行われ、26講座で行われ、第2回目の開催も本年11月に開催中である。
 第1回目でのアンケート結果では、まちゼミに参加した回答者80名の内、90%が女性であり、主に40代~70代の女性が全体の8割を占めた。参加者は公共交通(電車・バス)28人 徒歩25人、自転車16人、自家用車8人とあり遠方からの参加も多くあった。
 外出しやすい時間帯は10時~12時が一番多く、続いて14時~16時という回答を貰い、外出しやすい曜日に関しては日曜日が一番であり、土曜日、金曜日と続いており、次回のまちゼミ開催に向けて参考となるデータが得られた。
 参加者の66%がアンケートで大満足と回答、34%が満足と答え、不満は0人であった。普段店舗に来られていない方々が多く、まちゼミにより感動を得られ個店のファン、そして顧客に繋がる取り組みが始まった。

今後の事業展開・展望

 まちゼミを通して魅力ある個店が更に増え続け、地域に必要とされ続ける店舗の集積地、商店街であり続けるように、定期的にクオリティを高める店主同士の自主的な勉強会を行い、地域にあった取り組みとして継続実施に期待したい。 (松井 洋一郎)


『中小企業ちば』平成27年12月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)