テーマ : 三方よしの「まちゼミ」事業の導入

補助事業名 平成30年度千葉県商店街振興組合連合会計画策定促進事業
対象組合等 八街駅南口商店街振興組合
  ▼組合データ
  理事長 須藤 勉
  住 所 千葉県八街市八街237
  設 立 平成14年4月
  業 種 小売業、飲食店の異業種
  組合員 60人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3283)
専門家 岡崎まちゼミの会
代表 松井 洋一郎

背景と目的

 千葉県では個店と地域活性化を目的に20地域にてまちゼミ事業が行われており、八街市の八街駅南口商店街振興組合でも実施に向けて機運が立ち起こりました。きっかけのひとつとして平成28年に中央会の補助事業、連携組織活性化研究会を実施され、その中で「まちゼミ」を中心とした集客対策の検討を進めていくことになりました。その後、会員での協議を進め平成30年度において計画策定促進事業としてまちゼミ実施へ向けての参加研修&検討会が開催されました。まちゼミ自体の実施においては7月1日~7月31日を期間として、16店舗、22講座にて一回目を開催する事になりました。予約がたちまち入り定員一杯の講座もあり、しっかりスタートが出来たと言えます。無論初めての開催であり、様々な課題があったと言えますがPDCAをしっかり取り組み、効果的な事業に育てていく事が必要と感じます。実施した講座の内容としては、寿司店における「美味しいちらし寿司」、パン屋における「キャラクターパン作り」、だんご店における「ぬか床作り体験」と体験型の講座が多く、市民にとって商店街の取り組みが生活の質を向上させてくれるといった良い事業となりました。
 八街駅南口商店街振興組合は八街駅南口から広がる飲食、小売り、サービスを中心とした近隣型商店街であり、もともと賑わいのある商店街でありましたが、平成に入ってからの大型店進出、ネット販売などの影響で商業自体の環境が大きく変化していました。また組合の事業は活発であり、アンテナショップ「ぼっち」や夏祭りの運営、近年では宅配事業なども行い、組合員の団結力は高い商店街でありました。しかしながら、賑わいをイベントに合わせて取り戻す事が出来ても、個店強化に繋がる取り組みで多発的な固定客づくりがされなければ、商店街全体に行き詰まりが来てしまいます。小規模な事業者の集積である商店街においては、個店強化に繋がる持続可能な発展が期待されているなかでのまちゼミ事業の取組みとなりました(30年度には2度の研修、令和元年度も2度の研修に取り組み実施に至ることができました)

事業の活動内容

①まちゼミノウハウの取得
 そもそも、まちゼミ事業とは商店街の店主やスタッフが講師となり、 プロならではの専門的な知識や技術やコツ、趣味などを無料で少人数(2~7人程)の受講者(お客様)にお伝えし、最大の魅力である「人のファンになって貰う事業である。開催場所は基本的に自店内(別会場もある)で行い販売行為や勧誘などは一切行わない。1時間~1時間30分ほど時間を店主とお客様が共有する。まずは受講者(お客様)に喜んで満足いただけるゼミを第一に考える事業であり、ご満足いただいたお客様の多くはお店や店主のファンとして、後日お買い上げいただける場合も多く、新規のお客様になっていただけることがこの事業の特徴である。結果的に商店街の個店の活性化はやがて面になりまちの賑わい創りに貢献する事業である。今回の研修ではまちゼミ事業のノウハウや成果を上げるポイントを学び、全国での実例から様々なケースを感じて貰った。
 特に実施店舗においては何のためにまちゼミを実施するのか、また個店としてはどんな成果を期待するのかをグループワークからの討議を交えて研修をすすめた。特に自店として「新規客の創造、離店客の防止、新しい商いの創造、自身やスタッフの学び、良い店としてのPR効果、他店舗との連携やコラボ、雇用や事業承継」とまちゼミから得られる成果について明確に検討し、対象客、日程、内容からタイトルでの表現を協議しました。
②三方よしの精神とPDCAから取り組みを加速。
 また研修においては、まちゼミの成果は①継続しPDCAから成果が高まる。②ルール、仕組みを参加店舗全店で理解共有する事。
③チームワークを持って情熱的に取り組む事が大きく成果に影響する事を伝えた。まずはお客様、店舗、地域の三方よしの精神性のもと取り組み、全国共通で行っているアンケート分析のもと、地域性を探り検証する事の必要性も併せて説明した。

事業の成果

 八街駅南口商店街振興組合でのまちゼミは意欲的な事業者が集まり議論を重ね、1回目から情熱的に取り組む事が出来たといえる。チラシの表紙も手に取りやすい店主の集合写真を起用し、商店街マップや講座開催カレンダーも記載し市民目線で参加し易いチラシが出来、実施に向かった。市民からも評判と聞いており、今後の継続開催が期待される。今後は質と量を高め、市民に求められる店舗の集積地として商店街活性化に拍車がかかって欲しい。

今後の事業展開・展望

 千葉県内では、松戸市新松戸、野田市、 船橋市、香取市、流山市、市川市、柏市、千葉市、八千代市、我孫子市、君津市、習志野市、佐倉市、、そして八街市と20地域で実施されており、令和元年には東金市でも開催が計画されている。
 昨年度は野田市にて第1回千葉県まちゼミフォーラムも開催された。今後益々千葉県内での取り組みの加速と、商店街の皆さまの活躍が期待される。

(岡崎まちゼミの会 代表 松井洋一郎)


『中小企業ちば』令和元年10月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

チャレンジ組合ちば一覧に戻る