テーマ : 「商店街散歩」マップの作成と効果的な活用について
補助事業名 | 平成26年度連携組織活性化研究会 | |
対象組合等 | 八日市場本町通り商店街協同組合 | |
▼組合データ | ||
理事長 | 勝股 真功 | |
住 所 | 匝瑳市八日市場イ2871 | |
設 立 | 昭和 60年 2月 | |
業 種 | 小売業、飲食店中心の異業種 | |
組合員 | 25人 | |
担当部署 | 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284) | |
専門家 | 諏訪山デザイン事務所 代表 諏訪山 良和 |
背景と目的
八日市場本町通り商店街協同組合(以下、商店街)は匝瑳市のほぼ中央にある。市は平成18年に八日市場市と野栄町が合併し発足。人口約4万2千人、植木の産地として知られている。
商店街は匝瑳市の中心市街地だが、室町時代から薬師堂の門前町として、地名のように市の開かれる地域の商業の中心として栄えていた歴史がある。
近年、地方の中心市街地は過疎化による人口の減少や高齢化、また国道沿いへの大型商業施設の出店など、衰退の傾向にあるが、ここ八日市場本町通りも他の中心市街地同様、空き店舗の発生や後継者問題などの問題を抱えている。
今回のマップは、地域住民への商店街PRの目的もあるが、観光協会と連携し観光来街者を増やすことを主眼としている。
現在商店街には、街歩きで人気のあった八日市場市出身の俳優(匝瑳市観光大使)故地井武男さんを記念する「地井武男ふれあい記念館」が開設されている。
生前のテレビ番組の影響もあり、故人ゆかりの地でもある八日市場を散策に訪れる観光客は増加の傾向にある。
この機会を活かし、商店街を従来の近隣型から、観光型商店街の魅力も併せ持つ商店街として発展させる。併せて各店の魅力も強化するための商店街散歩マップを製作する事を目標とした。
事業の活動内容
マップ作成の研究会は昨年6月からスタートし、今年の1月まで延べ7回開催。若手や女性を含めた商店街のメンバー、市、商工会、観光協会、賛助会員の金融機関の支店長も含めたオール八日市場で、熱心な討論が毎回10名以上の参加者を集め開催された。
散歩マップの研究は、先進的なマップ作成事例や、街歩きツアーの企画、運営面も含め幅広く、専門家を交え研究をおこなった。
研究成果を元に、マップに掲載する会員のPR情報や取扱商品サービスなど、複数回の内部リサーチと検討を実施、これらの成果を活かしマップを製作した。
商店街には今回のマップにも使用したが、他の商店街にはない大きなデザイン資産がある。
ここに紹介した商店街マークとロゴは地元匝瑳市出身で、資生堂などで活躍、東京都現代美術館のCI計画などを手掛けたデザイン界の大御所、仲條正義氏がデザイン、現在も商店街が旗印として大切に使っている資産である。
事業の成果
事業の成果としては「商店街散歩マップ」の完成である。今回作成されたマップは、「地元で手作りした感覚」のコンセプトを元に作成されている。
マップは常に最新の情報を掲載する必要があるが、商店街の変化は激しい。そのため、修正や更新を随時アナログ感覚で行えるデザインイメージで製作されている、
製作されたマップは、毎年開催される商店街のイベントや今後、新たに企画される散歩ツアーイベントにも、マップ情報を充実させながら継続的に使用していく。
マップの表面の掲載内容は、商店街組合の構成メンバー店を中心に、非会員のお店や金融機関、歴史史跡を紹介している。
また、商店街マップの機能として、会員店の取扱商品の紹介、連絡先、営業時間、定休日等を分かりやすく一覧表で掲載している。マップの表題『八日市場本町通り商店街散歩』は、今回の研究会に参加した商店街の女性メンバーが描いた題字を使用。
地図内の吹き出し内の言葉は、来街するお客様へ向け、お店から親しみを込めたメッセージを掲載している。
マップ裏面はイベント毎に掲載内容を変化させ、チラシや広告として使用する場合も想定しているが、初回は商店街周辺の広域マップとして、観光協会と連携、匝瑳市の観光や歴史、文化情報を掲載している。
また、マップの活用効果をあげるため、八日市場散策のキャラクター「お散歩おじさん(仮称)」とスローガン「散歩のふるさと・匝瑳市八日市場」が製作された。
今後、このキャラクターは商店街のイベントなどに活用していく計画となっている。
今後の事業展開・展望
研究会では、今後の課題として、以下の活動に発展させる計画が話し合われた。
1.街歩きイベントの開催
商店街では従来の、売り出しやお祭りのイベントでの集客活動の他、通年型のイベントとしてスタンプラリーなどを盛り込んだ「街なか散歩」イベントを計画。
2.市観光イベントとの連携
匝瑳市は市街地の八日市場だけでなく、森や田園のある飯高檀林地区をハイキングコースとしてPRしている。観光協会の活動もあり、匝瑳市域に歴史や自然文化を尋ねる観光客は増加の傾向にある。この観光客を確実に商店街に回遊させ、飲食やお土産の購買に?げていく。
3.散歩コーディネータの養成
地域住民を中心に、老若男女を問わず幅広い人材から、「散歩のふるさと」コーディネータを募集。
地域の歴史を知り、誇りと愛着を持ち、説明や案内ができる地域認定のコーディネータとして育成、活動を推進していく。
4.観光グッズ産品の開発販売
4年前、商店街では一店逸品運動に取り組んだ経験を活かし、今回の研究成果を商店街の逸品として育て、地域のオリジナル商品を創る。そして、八日市場を「散歩のふるさと」としていくため、商店街が団結し行動していく。(デザインコンサルタント諏訪山 良和)
『中小企業ちば』平成27年4月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)