テーマ : 組合による地域連携化策を探る研究

補助事業名 平成26年度組合等新分野開拓支援事業
対象組合等 協同組合光ヶ丘商店会
  ▼組合データ
  理事長 笠原 輝幸
  住 所 柏市酒井根5-1-31
  設 立 平成 3 年 12 月
  業 種 小売業、飲食業中心の異業種
  組合員 39人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 Go West 経営コンサルタント事務所 所長 西 真一

背景と目的

 光ヶ丘商店会は、高度成長時代昭和年に分譲が開始された光ヶ丘団地の併設マーケットを最初の興りとする商店会である。
 現在では、光ヶ丘商店会加盟店店主と固定客の高齢化が進んでおり、地域内にある麗澤大学との連携イベント等様々な活性化策を行ってきたが、継続的で実効的な効果を得られないでいた。
 笠原理事長をはじめとする商店32会理事会は、今、若返り策を実現し、魅力的で活気のある街を創らない限り、十年先はないであろうという強い危機感を持っていた。
 そのような折、中央会では「組合等新分野開拓支援事業」という支援事業を実施しており、この事業は勉強会やアンケート調査に使えるものであった。
 当商店会では、この事業を使い、当該地域の活性化を行うために、地域住民から商店会は何を望まれているのか、どのような不満があって新規顧客の獲得に結び付かないのか等を調査し、地域を継続的に活性化する仕組みを方向付け事業を行う事となった。

事業の活動内容

 ①事業推進の方法

27-08-01 当事業は、図のような、麗澤大学、商店会、柏市、商工会議所による継続的な地域活性化のPDCAサイクルの仕組みを構築することを戦略上の目標とした。 
 その第一歩として、当事業を企画推進する立場の筆者としての推進目標として2つの目標を定めた。
 2つの目標とは、
A.地域活性化をテーマとしたブレーンストーミングによって専門性と経験値が融合され参加者の共通の目標が合意形成される過程を体験して頂くこと
B.このアンケート調査データから何ができるかを示すことで次の改善策に繋ぐこと
 目標をこのように定めた理由は、本事業は最終的に活性化の仕組みを創る事に主眼を置くべきであり、その実現のためには、参加者の活発な意見交換による参画意識と仲間意識の醸成と、自分たちがその結果を作り上げたという認識が不可欠である事と、テーマを具体化せず、大きな目標だけを決めることで、当初は想定もしていなかった思いがけない効果的で創造的な議論の舞台を創る事ができると考えたからである。

 ②光ヶ丘地域戦略会議の実施

 本事業では今後の光ヶ丘地域の方向性を決める会議体であるという意識の下、9回に渡って地域戦略会議を開催した。
 麗澤大学から二名の准教授と助教のご参加を頂いた。
 X助教はマーケティングやマーケティング調査の専門家であり、アンケート調査設計や、質問項目の構成、ターゲットの絞り込み方法などについて、的確なアドバイスを頂いた。
 Y准教授は、サービス・ラーニングの専門家である。サービス・ラーニングとは地域奉仕活動の中に教育を組み込むものであり、麗澤大学の生きた教育としてどのような取り組みが可能であるか等、様々な実例を含めた意見を出して頂き、アンケート結果をもとにした改善策を創る上でのヒントを頂いた。
 商店会の方々からも商店会や近隣の情報や、顧客の情報等、様々な生きた情報とご意見を頂いた。
 柏市からも、支援策や事例などの情報を数多くいただいた。
 麗澤大学からは事務局の方もご参加を頂き、活発な議論を展開することができた。

 ③人口動態の現状分析の実施

 柏市より光ヶ丘1㎞圏内のデータを頂き、このデータと、千葉県、総務省のデータとの比較を行い、高齢化の状況、人口増減等を分析し、千葉県、柏市、光ヶ丘1㎞県内の人口と流出入の状況を把握し、近隣地域の人口動態の状況を確認した。

 ④商店会店主向けアンケートの実施

 商店会店舗の現状を把握するために、商店会の店主の皆様を対象にアンケートを実施、店主の高齢化の現状や、事業の種類、後継者の有無、期待する顧客と実際の顧客等の調査を行った。

 ⑤麗澤大学の寮生と留学生へのアンケート調査

 現状では商店会の店舗においては麗澤大学の学生が来店する頻度は少ない。そこで、麗澤大学の学生の行動パターンを調査することで、今後の改善策の根拠となるデータを作ろうとした。

 ⑥来街者アンケートの実施

 光ヶ丘商店会を訪れる人や、周辺地域の方を対象にアンケートを実施した。人々が集まる場所と店舗にアンケートを調査用紙を置き、または、ポスティングを行って、全六千部を配布した。調査用紙の質問項目は、30項目にわたり、無記名であったが回答者の年収や家族構成まで聞く内容であった。配布したうち、二百数件を回収した。

事業の成果

 光ヶ丘商店会周辺1㎞の地域では、40歳~49歳までがその数も大きく増加傾向にある事がわかった。年収分布を見ると八百万円以上が10%程度おり、全国の8%を上回っていることが判った。
 来街者アンケートからは、来街者の不満が、店舗自体が市場ニーズを反映していないことや、閉鎖的で入りにくいことにある事がわかった。来街者が期待する店舗の種類も特定できた。
27-08-02
 分析結果とデータの使用例を報告書としてまとめ、データの活用方法のサンプルとした。
27-08-03

今後の事業展開・展望

 今回のアンケート結果から、カフェ・喫茶、ケーキ店、惣菜店が上位3位までのこの地域で希望されている店舗である。平成年度は、柏市にアンケート調査結果を基にした創業に支援策をつけて頂き、最初の施策として実施する予定である。(西 真一)


『中小企業ちば』平成27年8月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)