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チャレンジ組合ちば 2018.10  大原中央商店街協同組合

テーマ : 商店街活性化に向けたIC 型ポイントカードシステムの導入

補助事業名 平成28年度第2次補正 地域まちなか商業活性化支援事業
対象組合等 大原中央商店街協同組合
  ▼組合データ
  理事長 芝野 明
  住 所 千葉県いすみ市大原7642番地
  設 立 昭和57年5月
  業 種 小売業、飲食店中心の異業種
  会 員 71人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 コンサレンツァ・ガーディナツィオ  代表 伊藤 壮平(中小企業診断士)

背景と目的

 大原中央商店街協同組合はJR外房線・いすみ鉄道大原駅を中心に約1,200mの街路に所在する商店で構成されている近隣型商店街です。来街者の多くは近隣の住宅地の主婦層が中心で、近隣市町の御宿町や勝浦市などからの長年の常連客や商店街通りにある金融機関への来客なども多いほか、街道沿いに立地する大原高等学校生徒の通学路にもなっています。また、近年では、ローカル線ブームによるいすみ鉄道利用者や大原漁港「港の朝市」への来訪者の増加で観光客が街歩きを楽しむ姿も多くなってきました。
 但し、これらの顧客を必ずしも取り込めている訳ではなく、商店街が抱える課題としては、商店側では空き店舗増加・後継者不足、顧客側では高齢化及び消費者の購買スタイルの変化による来街者減少や大型店及びインターネット通販への消費流出が課題となっています。
 組合では中小専門店ならではの品揃えと商品知識、サービスの充実、対面販売における日常の何気ない会話でお客様とふれあうことのできる商店街づくりなど、大規模店舗・インターネット通販とは異なる商品・サービスの提供及び来街理由の創出と情報発信を念頭に様々な活動を行ってきました。
 これまで来街者の憩いの場である多目的施設 「おらげ」の運営を始め、年複数回の祭りの開催、レシートラリー抽選会等各種イベントの実施や、日本初のバーコードリーダー使用の「大原共通商品券」
の発行、そして平成8年から現在まで20年以上にわたるポイント・プリペイドカード事業「ほらやっさカード」の運営など様々な施策を実施してきました。
 カードは発行枚数12,000枚(いすみ市全域の世帯数に対し、約7割の普及率)に達し、プリペイド機能は月1回割増特典のある入金日を設けていることから、家計予算の「小袋分け」代わりに利用されています。但し、カードが磁気カード製で、機器の老朽化・故障が頻発しており、修繕費が増加していることや既に生産終了してしまっているため、早急に代替策を検討する必要がありました。

事業の活動内容

 新カードシステムへの移行にあたりシステムの検討を行い、既に導入した商店街などの視察を通じ、Androidタブレットとレシートプリンタを活用した非接触型のICカード型のシステムの
採用を決定しました。
 採用の決め手になったのは、専用の機器ではなくNFC(ICカードリーダ)機能を持つ汎用Androidタブレットであれば、アプリをインストールすれば端末として利用できること、非接触型なので保守修繕費の大幅な軽減が期待できること、ネットワーク利用によりデータ送受信・集計作業の軽減やマーケティングへの活用が可能なこと及びカードの機能性・拡張性を活かしたサービスが展開できる点でした。
 平成29年5月に「平成28年度第2次補正 地域まちなか商業活性化支援事業」の採択が決定し、導入に向けての準備が開始されました。この時点でもソフトウェアの開発は継続して行われており、組合の有する20年間のポイントカード・プリペイドカード運用のノウハウを開発会社と共有し、現場での柔軟な運用が考慮された内容とすることができました。

事業の成果

 平成29年11月に「いすみiCARD」として新カードがスタート、順次旧カードから新カードへの移行が進み、現在は結合なども含めて約7、000枚の発行となっています。
 従来のポイント、プリペイドのサービスは基本的には同じまま、タブレットの機動性、ICカードの機能性・拡張性を利用したサービスが展開できるようになりました。
高齢者来街ポイントの付与
 無料休憩所「おらげ」にキオスク端末を設置、70歳以上の来街者が端末にカードをタッチすると来街ポイントが付与される仕組みです。今後はお祭りやイベント等で端末を設置することで来街促進や来街者情報の収集などが図れます。将来的にはしばらく来街のない高齢者の見守りサービス等も視野に入れています。
福引機能・抽選券出力機能
 購入金額に応じてくじ引きゲーム画面を表示し、あらかじめ設定された賞品の当落を表示する福引機能もあり、この設定は個店単位でも加盟店全体でも設定可能です。複数店を回遊しての「お買い物マラソン」も開催できます。
 またレシートプリンタから従来の福引の「抽選券」を発行できる機能もあり、発行枚数の管理や店舗間でのサービス差異等が生じなくなる効果がありました。昨年12月の福引イベントの際は、顧客からも「抽選券よりもレシートの方が財布にしまっておける」と好評で、福引会場への来訪者数も従来より増加しました。
「どこでもポイント」機能
 端末からQRコードの入ったレシートを印刷、QRコードを端末で取り込むことでポイントを付与できる機能です。カードを持ち合わせていない顧客や端末がない場面で、後でどの加盟店にレシートを持参してもポイント付与が可能となっています。有効期限も設定でき、来街動機の創出が図れます。
管理・事務作業の省力化
 また管理面・事務作業面でも大幅に負担の軽減が図れています。かつてはポイント・プリペイドの利用集計は電話回線を用いた夜間更新であったため、通信障害が発生すると利用履歴が中央端末に届かず消失してしまうことがあったり、イベント等でポイント料率の設定を変えるのもこの夜間更新のタイミングのみとなっており、前日・当日に中央端末を操作する必要がありました。
 新システムではネットワークで即時更新となっており、ポイント料率変更の事前予約やデータ消失の恐れの軽減、データ集計作業の簡略化に繋がっています。また管理アプリの入った端末でネットワーク経由での個別の端末の設定変更なども可能となり、管理負担が軽減されました。
 ソフトウェアの更新も旧システムでは端末内のICを物理的に交換する必要がありましたが、新システムではネットワーク経由でアプリの更新を行えます。新たに運用する中で露見された不具合や不便な点も随時アップデートが実施されており、今後新機能も追加される予定です。加盟店端末にはアップデートの告知以外にも組合からの情報等も即時配信が可能となっており、情報共有のスピードアップにも寄与しています。また汎用Android端末が利用できるため、導入・運用コストの低減も図ることができました。

今後の事業展開・展望

 紙の商品券事業も現在組合では実施していますが、当システムを活用しiTunesカードのようなコードの記載されたギフトカードの機能開発も現在進められていますが、カード発行費の回収方法やお金の流れなど現場でのルール設定の調整を進めています。
 また近い将来には大原中央商店街協同組合だけでなくいすみ市全域でのカード展開を目論み、周辺の商業者との勉強会等を進めています。今後実施予定のいすみ市の行政ポイント事業との連動も期待され、健康診断の受診促進でのポイント利用や市内を巡回するコミュニティバスでのプリペイド・ポイント利用で、利用者の利便性アップだけでなく、移動データの活用や見守りシステムへの利用等も可能になり、将来の拡張性が期待されます。

(中小企業診断士 伊藤 壮平)


『中小企業ちば』平成30年10月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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