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チャレンジ組合ちば 2018.04  若手経営者ネットワーク スマイルかまがや

テーマ : 今、なぜ経営革新が必要か

補助事業名 平成29年度連携組織活性化研究会
対象組合等 若手経営者ネットワーク スマイルかまがや
  ▼組合データ
  理事長 岩井 武巳
  住 所 千葉県鎌ケ谷市南初富6-5-60
  設 立 平成27年1月
  業 種 製造業
  会 員 11人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 事業承継センター株式会社 取締役 石井 照之(事業承継士・中小企業診断士)

背景と目的

 多くの中小企業が後継者育成と事業承継という経営課題に直面している中で、「若手経営者ネットワーク スマイルかまがや」は、将来を担う三十歳代と四十歳代の後継者が十一名集まった自主的勉強会である。
 メンバーは鎌ケ谷市に拠点を置く中小製造業者が中心であるが、野田市や船橋市の事業者も参加している。リーダーであり、自らも父親から会社を承継した経験を持つ、岩井製作所代表の岩井武巳氏によると、若手経営者は以前のような秘密主義ではなくオープンであり、情報を共有したり、強みを持ち寄ったりしながら、自分たちにしかできないことを成し遂げたいという気持ちが強いとのこと。
 「千葉県内には大手製造業の企業城下町がなく、中小企業間のネットワークが少ない。中小製造業者が単独で頑張っている。これからの時代を生き抜くために、自分達の世代は力を集結させたい」
 設立1年目はメンバーが講師となり、持ち回りで勉強会を実施してきたが、内容に限界を感じたため、2年目の今年度は、外部の専門家を講師に招くことになった。

事業の活動内容

①目標の設定「経営革新を目指そう!」
 中小製造業の課題は、下請け的な仕事が多くなりがちなことである。技術力が高い企業ほど大手企業から加工依頼が舞い込む。下請け的な作業を真面目にやり続けてきたからこそ、誰にも負けない強みが磨かれて今日に至っている。
 しかし、その技術を下請的な仕事だけに使っていては企業としての発展はさほど期待できない。長年をかけて培ってきた強みを下請けではない独自のフィールドで使いたい、という思いから、メンバーそれぞれが独自の強みを生かして、新しいものを世の中に生み出すという目標が定められた。
 最終的には個々の企業が「経営革新計画※」の承認を得ることを目標に掲げた。
※ 「経営革新計画」=中小企業等経営強化法に基づいた支援策。中小企業者の革新的取り組みを県知事が承認し、様々な公的支援を行う制度。
 また、経営革新に取り組むことは経営計画を作ることでもある。計画作成の過程で、後継者に真の経営者に成長していただくことをもう一つの目標として勉強会がスタートした。
②勉強会の実施(全4回)
 経営革新に向けた勉強会が始まった。勉強会は5月を1回目とし、隔月で計4回実施した。
【1回目:5月19日】
 後継者が会社を引き継ぐ上で最も大切なことは、経営理念を承継して形にすることである。そこで、理念の文章化から始めた。理念を定義することは自社の歴史を振り返ることであり、自社の真の強みに気づく旅になるからである。
 先代社長は自分の生き様や働き方で理念を語ってきた。言葉は大きな問題ではなかった。しかし、若手後継者は違う。自分の信念を言葉で伝えることがコミュニケーションとなり、顧客を得て、従業員を引きつける。そこで、理念が既にある企業はその理念を後継者なりに解釈してもらった。理念の無い企業は後継者に理念の案を作ってもらった。それを持ち寄って議論してもらうことで、様々な気づきを得ていただいた。
【2回目:7月7日】
 経営革新を実現する上で最も重要なものは「強み」である。自社にしかない際立ったものだとなおよい。そこで、SWOT分析の手法を活用し、強みの棚卸しを行った。メンバーは互いをよく知っている仲なので、それを利用した。自分が思っている強みを書いてきてもらい、他者から見た自社の強みと付け合わせる作業(グループ討議)を行った。
 自社の強みを的確に把握している企業は少ない。当たり前だと思ってやっていることの中に強みがあったりするからだ。他者から指摘を受けることで、「当たり前にやってきたことでも強みになるのか!」という気づきにつながった。
【3回目:9月8日】
 どんなに良いアイデアであっても絵に描いた餅では売れない。そこで、売る方法=マーケティングについて学んでいただいた。
 ここに一本の水があるとしよう。この水を売るために必要なことは何だろうか? ①誰に売るか(ターゲット)、②ターゲットの困りごと、③ターゲットがその水を飲む場面、④その水の特徴などである。
 この水の例をもとに、自社の製品をより多く売る方法を考えていただいた。当社の製品のターゲットは誰で、実際にどのように使われているかなどを考え、グループ討議を通して考えを深めてもらった。討議の中で、当人では気づくことができなかった売るための新たな視点を得ることにつながった。
【4回目:11月20日】
 最終回はいよいよ経営革新計画である。千葉県商工労働部が作成したパンフレットの中に、経営革新優秀企業表彰を受けた社長の言葉が複数掲載されている。本勉強会に参加している後継者にとって、珠玉の言葉である。その言葉を読んで革新企業に共通の要素を感じ取ってもらった。
 そして、アイデア実現シートを使って経営革新計画の素案を作った。予め考えてきていただいたアイデアについて、①自社の強み、②自社の課題、③ターゲット、④ターゲットのニーズ、⑤ スケジュール等を中心に、アイデアを形にする作業を行った。
 最後は、自らが考えた経営革新の内容について一人ずつ発表してもらった。発表の内容は、経営革新の具体的な内容というよりは自らの所信の表明に近いものも多かったが、メンバーから多くの質問が飛び交い、発表会は盛り上がった。若い後継者の「未来にかける熱い思い」を聴くのは楽しかった。

事業の成果

①メンバーの成長
 グループ討議を通して、多くの気づきを得ていただいた。考え方の幅が広がったと感じる。そして、本勉強会に参加した企業の多くから、経営革新計画にチャレンジしたいとの意向が示された。
②経営革新計画承認第一号!
 本勉強会のリーダーである岩井武巳氏が代表を務める、有限会社岩井製作所が経営革新計画の申請書を提出し、平成30年3月に承認された。本勉強会のメンバーの中で第一号の経営革新承認案件となった。
 グループ内で誰かが壁を破れば、次から次へと連鎖的に成果が生まれることが期待できる。この承認が呼び水となって、今後、岩井製作所に続く経営革新承認企業が本勉強会の中から生まれるであろう。とても楽しみである。

 今後の事業展開・展望

 時代の変化は速い。会社が生き残り、発展し続けるためには、経営革新は待ったなしである。そして、経営革新を担うのは、今の時代のニーズにフィットした若い後継者世代である。
 事業承継は単なる代表者の交代ではない。技術とノウハウを持った現経営者世代がサポート側に回り、新しい考え方を持つ若い経営者が経営革新にチャレンジしていく。若い経営者は未熟な面もあるので、それを補うために連携し、勉強会に集い、組合を作る。組合の持つ相互扶助の考え方や人材育成能力がここに発揮される。
 若い後継者が集まって切磋琢磨しながら新しい付加価値を生み出そうと努力している姿に感銘を受けた。県内に「スマイルかまがや」のような若手経営者の連携体が多く生まれ、成長していくことを期待せずにはいられない。

(石井 照之)


『中小企業ちば』平成30年4月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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