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チャレンジ組合ちば 2017.09  木更津総合卸商業団地協同組合

テーマ : 労務トラブルを未然に防ぐための研究会

補助事業名 平成28年度連携組織活性化研究会
対象組合等 木更津総合卸商業団地協同組合
  ▼組合データ
  理事長 堀内 正一
  住 所 千葉県木更津市潮浜1-17-2
  設 立 昭和58年12月
  業 種 卸売業中心の異業種
  会 員 30人 準組合員4人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 アクア総合社労士事務所 所長 立川 久代

背景と目的

 昭和58年千葉県中央部の地元有力企業を中心に20社、総面積32万平方メートルの小規模卸団地として開設されました。
 平成6年に、第4次補完事業も完成団地機能も向上し、当地域への経済的な影響力も高まり順調に推移してきました。しかしながらその後バブル経済崩壊に加え、当地域にはアクアライン開通による先行投資等もあり、全国でも有数の地下高騰と下落が重なり地域経済も大きな影響を受け地元企業・商店等の淘汰も加速され、組合内企業にも当然にその影響が及び企業倒産等が見られました。
 近年では、当地域への三井アウトレットモールやイオンモールなどの大型店の進出に加えアクアラインによる大都市圏への交通等利便性の向上、流通機構の変化等当地域を取り巻く経済環境は大きく変化しています。また、組合内企業では従業員の高齢化・若手社員の採用・育成等も大きな課題となっています。
 このような環境下しばらく休会となっていた組合内の定例会を、「時宜にあったテーマを検討して組合員企業に情報提供をする事」を目的に、平成27年下期から再開しマイナンバーへの取組み、電力自由化への対応等の課題をテーマにセミナーを実施しました。
 28年度への取組みとしては、組合内企業でも従業員の労務管理を課題としている企業が見られることから労使紛争を予防・解決するため経営者に必要な知識習得を目的に[社長、こんな問題が起きたら、どうしますか!?]と題して専門の社労士によるセミナーを2回にわたり実施、またその後「シニア人材の活かし方」と題して講師を依頼、初めての試みとして、商工会議所と共催してセミナーを実施しました。なお本年度のセミナーは千葉県中小企業団体中央会の連携組織活性化研究会の一環として実施しました。
 今後も時宜にあったテーマを検討して組合員企業に情報提供を出来るように進めていきたいと思います。

事業の活動(セミナー)内容

 ■労使紛争を予防・解決するために 第1回 紛争の実態と予防策

 まず、厚生労働省が公表している「平成27年度個別労働紛争解決制度の運用状況」を確認しました。総合労働相談は、8年連続で100万件を超えています。

 5つのテーマ別に紛争となった事例をあげて、会社はどのように対処するのが望ましいのか検討し、周辺知識を学びました。

①労働時間の問題(営業部社員の未払い残業請求―会社として最善の対処法は?)
 労基署・裁判所による労働時間認定のポイント

  • 残業の指示がなかったとしても、残業になった原因が従業員にあったとしても、「指揮命令下に置かれている。」と評価されれば残業代が発生します。
  • 自己申告制は許されるか?
     「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(H13・4・6基発第339号)があります。使用者が自ら現認するか、タイムカード・ICカード等の客観的な記録を原則としつつ、自己申告制により記録することも許してはいますが、適正な管理は必須です。

②ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラetc)の問題(労務問題に発展させないためには、どのような発言が問題なのかを事例で確認しました。)

  • 裁判所によるパワハラ認定の傾向→発言や行為の有無だけではなく、言動と業務の関連を重視している。→多少表現が不適切であったり、声を荒げることがあったとしても、具体的な注意・指導に留めることが肝要です。
  • 裁判所によるセクハラ認定の厳格化→「被害者が加害者の意に沿うような行動をとってしまう」心理状態に対する理解を示しています。(P大学セクハラ事件(大阪高裁H24・2・28))

③解雇・雇止めの問題

  • 能力不足の判断基準→職務能力が劣悪であり、指導を尽くしたことにもかかわらず、改善が見込めない場合に限って解雇が認められる→会社にとってはかなりハードルが高いのが現実です。
  • 改正労働契約法→有期契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより無期契約に転換されます。

④労災(うつ病等精神疾患)の問題

  • 安全配慮義務→使用者の責により、労働者の生命、身体等の安全を害し、損害を与えた場合には、安全配慮義務違反に基づき損害賠償責任を負うことになります。→過労死・過労自殺の場合、損害賠償額が高額になります。
  • 民事上の責任を問われるのは会社だけでなく、取締役も損害賠償を請求されるおそれがあります。

⑤労働者派遣(請負)の問題

  • 偽装請負と評価されてしまう状況とは?→派遣と請負の違いを理解し、曖昧な状況を作らない。会社間の契約は明確にし、労働者には、契約内容を書面で通知することが大切です。

 ■第2回 紛争になってしまったら 解決機関と解決方法

①労働基準監督署

  • 労働者がまず相談するケースが多いが、労働基準監督署が対応するのは、最低労働基準に関するもの(労基法・安衛法・最賃法等)であり、所掌する法令以外の事項で(民事上の)、指導はしません。

②ADR(裁判外紛争解決手続)

  • 司法型→民事調停等
  • 行政型→労働局紛争調整委員会
  • 民間型→弁護士会や社労士会などが運営するもの等  裁判外での解決手続きがあります。

③労働審判

  • 労使間に生じた民事に関する紛争について、労働審判委員会が、原則3回以内の期日で審理の整理を行い調停を試みます。解決ができない場合は、審判を言い渡します。→労使トラブルが予想される場合、労働審判を考慮して証拠を準備しておくことが肝要です。

④合同労組(ユニオン)

  • 弁護士が受忍できないような少額な案件でも引き受けます。
  • ビラまき、会社前街宣活動、取引先への働きかけ等心理的圧力をかけてきます。
  • ブログ、YouTubeなどを使った組合活動が得意です。

 事業の成果

 労働者が訴える先も増えていますし、躊躇することなく行動に移すケースが増加しています。労務に関するリスクが非常に高まっています。経営者も労務管理・労務問題をしっかり勉強し、いざという時の対処法も考えておかなくてはいけないということを理解する好機になったと思います。

(立川 久代)


『中小企業ちば』平成29年9月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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