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チャレンジ組合ちば 2011.05  勝浦奉仕会協同組合

テーマ :組合での地域通貨導入の可能性

補助事業名 組合研究集会
対象組合等 勝浦奉仕会協同組合
  ▼組合データ
  理事長 岩瀬 洋男
  住 所 勝浦市墨名 657-2
  設 立 平成 11年 7月 28日
  業 種 小売業・飲食店中心の異業種
  会 員 30名
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(TEL043-306-3284)
専門家 大塚マネジメント研究所 所長 大塚 愼二(中小企業診断士)

背景と目的

 勝浦市は「さと海さと山」のまちとして、房総半島の一大観光地の一角を担っている。有名な朝市や勝浦漁港におけるカツオの水揚げなど港町特有の雰囲気の中に温かみの感じられるまちである。
  最近では、「かつうらビッグひな祭り」や勝浦名物「担々麺」など話題性のあるイベントや「食」によるまちおこしで注目されている。
  しかしながら、勝浦商業の現状をみると、人口の減少傾向に歯止めがかからない中で、商業者の高齢化傾向が際立っている。一方、周辺地区への大型店の進出が顕著であり、勝浦市内中心部や興津地区の商店街も空き店舗が目立つようになってきた。
  勝浦奉仕会協同組合は、勝浦地区、興津地区を中心に、平成十一年に商業者三十名で組織された協同組合である。組合事業としては、ポイントカード事業と商品券発行に関する業務を行っており、組合員店舗の販売促進と固定客の増大を図っている。また、商工会等が開催する納涼夜祭りやビッグひな祭り協賛大売り出し等への「マイカード」による協賛ポイントの提供やプレミアム商品券の回収などを実施している。
  このような事業を行うなかで、地元の商業者として、勝浦市に住む消費者の高齢化を間近に見るにつけ、買物に対する利便性の提供以外にも、地元住民の暮らしに役立つ、コミュニティづくりができないかを考えるようになった。このため、岩瀬洋男理事長と役員の方々との話し合いの中で、ポイントカードを活用した地域通貨の導入手法について、研究会を二回にわたって開催することになった。

事業の活動内容

①地域通貨の定義

 地域通貨とは、「環境保全や福祉など、通常の貨幣によって市場価値の生みにくいサービスのやりとりを地域の人々の発意により活性化させるため、本来の通貨を補完する形で、一定の地域に限って発行されるもの」と定義されている。
  地域通貨には、カナダ発祥のLETSのように金銭的価値をもった通貨的側面と社会・文化的側面との二つの役割がある。地域通貨の提唱者である通産省キャリアの加藤敏春氏は、後者の役割をエコマネーとして提唱した。
  地域経済が疲弊し、住民同士の関係が希薄になる中で、独自の「通貨」を触媒に日常生活のちょっとしたサービスをやりとりしながら、人と人とのきずなや地域の活力を取り戻し、まちづくりに活かそうとする試みである。その仕組みは、「私のできること」「私のしてほしいこと」をサービスメニュー表に登録して、当事者同士で取引することである。
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②エコマネーブームの到来

 2002年には、北海道の栗山町で、地域通貨国際大会が開かれ全国的にも注目を集めることとなり、一種の地域通貨ブームが到来したのであった。
  「くりやまエコマネー研究会」は当時、様々な仕組みの改革に取り組んでおり、その一つは、「知らない人には直接頼みにくい」との声を反映し、依頼者はコーディネーターを通して提供者を探す「マッチングシステム」等を導入した。


③エコマネーの誤算 

23-05-2 お金に換算できない福祉や文化などのサービスを地域社会の中で流通させるというエコマネーの理念は、その仕組みにおいてかっての勢いを失いつつある。その理由を考えてみると、日本には地域通貨導入以前から相互扶助の関係が活発であったことが挙げられる。農村には古くから「結(ゆ)い」や「手間換え」と呼ばれる相互援助の制度があり、田植えや屋根のわらぶきなどに必要な人出を、各家が融通しあっていたのである。
  また、「自分のことは自分でやるという姿勢が染みついているので人にものを頼みづらい」という遠慮意識が根強く残っていることなども、その要因であろう。


④ 地域通貨を多様な還元メニューとしてとらえることが必要

地域通貨を「社会・文化的側面(エコマネー)」として理想を追求し仕組みづくりを行うには、組合事業としてかなり高いハードルがある。そこで、次表の地域通貨と多様な還元メニューに見られるように、金銭的価値を持った側面をとらえ、柔軟な対応が必要になる。組合を通じて、商店街の振興といった本来の目的に結びつける方策を模索するべきであり、特にポイント事業においては、その具体的な活動が必要となる。 23-05-3

事業の成果

  講習会を通じ、岩瀬理事長をはじめ役員の方々からは組合事業を通じて、「これからは地域のために役立つことをしなければ」という地域貢献にかける熱い思いが感じられた。また、コミュニティを最終目的として地域通貨を導入したところは停滞しているため、まずポイントカード事業の中で何か出来るかを考え、実行に移すことが大切とのコンセンサスが得られた。
  具体的な成果として、①各種イベントを支えるイベントボランティアに対し、協力した時間に応じたポイントを進呈しボランティア活動を支援する、②満点カードを利用した小・中学校、幼稚園、保育園対象の地域助成券の実施、の二点の実施にこぎつけたことは、広い意味での地域通貨による社会貢献と考えられる。

今後の事業展開・展望

  今後の地域通貨の運用を図る上で、東京池袋本町の「きずなカード」が参考になる。このカードはNPO法人街づくりネットワーク(地元商店街有志で結成)、商店街、「おたすけクラブ」と協力し、高齢者ボランティア活動や、地域イベント等と絡めた新たなポイントカードとして再稼働させた。思いやりを込めた一枚のカード「きずな」を通し、まちづくりをすすめている。
  勝浦奉仕会の「マイカード」も新たな地域通貨の仕組みを模索することで、これからも商店街の活性化とお年寄りや子供たちにやさしいコミュニティの構築を目指していただきたい。(中小企業診断士 大塚 愼二)


『中小企業ちば』平成23年5月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

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