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チャレンジ組合ちば 2012.07  浦安魚市場協同組合

テーマ :経営環境変化に対応した今後の戦略について

補助事業名 平成23年度組合等新分野開拓支援事業
対象組合等 浦安魚市場協同組合
  ▼組合データ
  理事長 池田 実夫
  住 所 浦安市北栄 1-10-20
  設 立 昭和28年12月
  業 種 小売業、飲食店中心の異業種
  会 員 30名(平成 23年 6月現在)
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡043-306-3284)
専門家 株式会社ディセンター 代表取締役 折原 浩

背景と目的

 千葉県浦安魚市場は、行商さんや地元飲食店の卸売市場として、また、近年は特に観光客やこだわりを持つ地元消費者の「顔の見える魚屋さん」として愛されている。毎朝早朝4時に開場し、新鮮な魚を販売、午前中にはその業務のほとんどを終わらせてしまう。また、行商さんや飲食店仕入を主なお客様として長年営業してきた魚市場なので、近年、スーパーマーケットなどでは失われつつあるお客様と商人との会話が未だに残る心温まる市場だ。
 本事業(組合等新分野開拓支援事業)が行われた平成二十三年度は、三月十一日に起こった東日本大震災の影響と不安が深く残り、また、日本全体が、以前から続く経済低調から未だ脱しておらず、世界的金融不安と相まって、かつてない未曾有の不況が続いていた。このような中、かつて地域文化として存在していた行商さんの高齢化や魚の消費低迷なども相まって、食品卸、小売業とも、今までどおりの経営では成り立たなくなってきており、業績は悪化傾向であることは否めない。また、事業主の多くが高齢化してきており、事業承継か店をたたむかの選択を迫られている。市場全体が大きな変革期に差し掛かっている。
  このような外部環境の中、浦安魚市場では、理事長の号令のもと、若手経営者、後継者が、次世代の浦安魚市場を創造すべく、千葉県中小企業団体中央会の協力の元、組合等新分野開拓支援事業を用いて、改革への活動を始めた。本事業の目的は、次の浦安魚市場のあるべき姿を描いた中長期計画の作成のため、現状を把握し、提言を行うことである。

事業の活動内容

 本年度は、現状を把握し、そこから戦略のヒントを得るため、 ①出店者へのヒアリング、 ②お客様へのアンケート調査、 ③販促委員会でのマーケティング講習会、 ④成果発表講習会の4つの活動を行った。
  24-07 

①全出店者へのヒアリング調査

浦安魚市場は、四十以上の店舗によって構成されている。組合を中心に共通イベントを催しているが、個店により参画意識の温度差があり、また、個店の意見を聞く場がほとんどない状況であった。通常は潜在化しているが、意見を言う場がないことでストレスが溜まったり、情報が入らないため疑心暗鬼になったりする場面も見受けられた。また、現在の状況を打破するためには、全員の英知を結集する必要があると判断したため、一店一店三十分ほどヒアリングをした。結果は、非常に多くの情報を得られたばかりでなく、総論で捉えていた情報よりもずっと良い情報、提案を得ることができた。


②お客様へのアンケート調査

土曜日、日曜日の2日間、延べ二百人以上のお客様にアンケート調査を行った。お客様に記入していただくのではなく、調査担当者がお客様の生の声を聞き、記入する形態をとった。結果、浦安魚市場は、多くのお客様に愛されており、組合が考えていたよりも、ずっと多くの温かい声を得た。また、今回は、来店車種やチラシ効果など、質問項目にも工夫を凝らした。お客様の声は、項目別に分析したが、実際の心のこもった声として全員が捉えるため、なるべく原文のまま個店経営者に届けた。


③販促委員会でのマーケティング講習会

個店からのヒアリングデータ、お客様からのアンケートデータは、専門家が分析するのではなく、販促委員会においてマーケティングを学びながら分析、提言をまとめた。また、実際に模造紙を使い、意見を集約、分析することで「見える化」が促進され、そこから多くの活きた情報を得ることができた。結果、マーケティングの知識がついただけでなく、参加者の意識が大きく向上した。


④成果発表講習会

本事業最終日に全員参加の成果発表講習会を行った。単純に報告書の解説ではなく、専門家による今回の調査から推測される傾向や、考えられる対策を学び、今後の戦略の方向性について全員で考えた。自分たちへのヒアリング調査がどのようなカタチでまとまったのかに関する関心は高く、また、お客様の生の声に耳を傾け、今後の浦安魚市場の方向性を考えることには、多くの参加者の関心を得、非常に有意義な講習会であった。

事業の成果

  本事業における成果は、今後の戦略戦術を考えるための重要なデータを得、そこから有意義な分析ができたことはもちろんであるが、浦安魚市場全員の意識、モチベーションの向上、そして若手後継者のマーケティング手法の絶好の学び場としても大きな効果があった。
  出店者へのヒアリングと最後の成果発表講習会は、基本的には全員の参加を求めた。もちろん、出店者の情報を精緻に集めることや成果を今後生かす為に全員に情報を伝えることが有効と考えたためだが、全員が参加することで、当事者意識を促し、モチベーションが向上したことも大きな成果と言えよう。
  また、出店者ヒアリングデータ、お客様アンケート調査データのとりまとめは、若手経営者、後継者を中心とする販促委員会の参画の元、十回ほど行った。これは、情報を単純に分析するだけでなく、若手経営者がこれらの作業を通じてマーケティング技術を学ぶためである。実データを用い、その分析を実際に行うことでマーケティングの基礎が身についた。これらの技術は、彼らの大きな力となり、今後更にこの活動を続けることで大きな成果へとつながるだろう。
  また、今回は、データ分析だけでなく、そこから見えてくるお客様の買い物動向、個店や市場全体としての対応まで考察しているため、本事業による報告書は、今後、浦安魚市場の戦略を決定し、中長期プランを立てていくうえで、大きな武器となると確信している。

今後の展望・期待

  本年度は、主に調査分析事業に重点を置き展開してきたが、今後、これらの分析、提言をもとに中長期プランの作成が求められる。今回の調査から今後浦安魚市場が取り組むべき重要テーマは次の三点と言えよう。


①現状資産を十分活用した魅力ある個店づくり
②協力関係と強力なリーダーシップにおける浦安市場として
  まとまりのある取り組み
③ターゲットの見直しと効果的な販売戦略・戦術の構築

これらのテーマは、確かに簡単ではないが、中長期的に計画性を持って着実に取り組んでいく必要がある。また、今回の調査、分析から、浦安魚市場にはまだまだ多くの資産や素晴らしい顧客が残されていることがわかる。決して楽観視はできないが、過度に悲観的にならず、イノベーションに取り組むことでさらなる発展が期待できる。(折原 浩)


『中小企業ちば』平成24年7月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

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