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チャレンジ組合ちば 2015.09  鴨川マザーズ企業組合

テーマ : 地域活性化を目指した新商品開発について

補助事業名 平成26年度連携組織活性化研究会
対象組合等 鴨川マザーズ企業組合
  ▼組合データ
  理事長 小川 直世
  住 所 鴨川市横渚462亀田医療大学 コモンズ鉄蕉館1階
  設 立 平成 24 年 12 月
  業 種 その他の小売業・飲食店業
  組合員 27人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 有村コンサルティングオフィス 代表 有村 知里(中小企業診断士)

背景と目的

 平成24年4月に新設された亀田医療大学から学生食堂を地域の人たちに経営を委託したいとの要請があり、鴨川市商工会女性部メンバーが経営することとなって鴨川マザーズ企業組合(以下、組合)は設立された。
 学生に親しんでもらいたいと、食堂の名称やロゴマークは学生から募集し、「亀ママキッチン」と名付けられて25年5月の開店を迎えた。南房総の新鮮な食材を中心に手づくりにこだわったメニューでランチを提供している。親元を離れて入学している学生も多いため、「母親が手作りしてくれているような美味しさ」と評判を呼び、学生と教職員のみが顧客で、夏季休暇などは営業できないという特殊な環境のなか、経営を軌道に乗せている。
 さらに組合が持つ〝食材を活かす強み〟を活用したいと、県内の鴨飼育業者から鴨肉を使った新たなレシピ開発の依頼があった。このため、半年ほどかけて多数のレシピを開発・提供し、商品開発の手応えを感じた。開発商品を地域の土産品などにして販売することにより、新たな収益事業としたいという意向があり、勉強会を開催する運びとなった。

事業の活動内容

 【勉強会1日目】

 先ずは地域産品として成功している事例から、その特徴を学ぶこととした。
 岐阜県の農家の女性らが中心となって開発し年間20万本以上生産しているトマトケチャップや、神奈川県内のしらす加工品の事例を紹介した。いずれの商品も地元の素材を活かしつつ、製造方針が明確で訴求力があることが特徴であり、成功要因である。
 続いて、組合で開発する新商品について検討するため、組合としてこれまで取り組んできたことと課題について意見交換した。
 組合では鴨肉のレシピ開発の依頼を受けた際、鴨のもも肉を使った「鴨の燻製」と「鴨ジャーキー」の2種類を試作品として完成させていた。これらを商品化する意向があったものの、鴨肉は県内産ではあるが鴨川産ではないこと、安定供給にも課題があることが分かった。また、価格設定についても、原材料と食品加工のコストや流通、パッケージコストを踏まえると、一般消費者にとって買い求めやすい単価にはならないことが判明した。高級品としてPRすることも検討したが、現実的ではないと判断した。
 鴨川に立地する組合として土産品を生産する際には、地元食材を活用することが望ましい。アイデアを出し合ったところ、地元の鴨川漁港で水揚げされる「しいら」を使ったオイル漬け(組合内では「シーラチキン」と呼んでいる)の商品化という新たな方向性が示された。
 マグロのオイル漬けに似たこの商品は、既に食堂の厨房で加工してサラダ等で提供している。原材料のしいらは地元漁師から入手可能でかつ原価が安いこと、食堂内で味付け加工が出来ること、魚のオイル漬けは誰にとっても親しみのある身近な食材であることから実現可能性が高いと判断された。

 【勉強会2日目】

 今回は「シーラチキン」を鴨川ならではの土産品として商品化するための検討を行った。
 地元産品を活用した商品開発のよくある失敗例として、生産ありきで販売面の検討が十分にされず、結果として売れない商品ができてしまうことがある。
 成功のする商品化への切り口として、実質的に価値があること(美味しさや利便性)以外に、独自性(地域性や希少性)、ストーリー(誕生秘話など)が挙げられる。これらにより商品のブランド力は高まり、消費者の購買意欲向上にもつながる。
 そこで組合が商品開発に取り組む目的は、地元の食材を活かした商品開発を通じて地域振興に寄与することであり、可能な限り「鴨川」にこだわりたい意向が再確認された。こうした組合の思いを実現するために、単に「しいらのオイル漬け」ではなく、地元の農産物であるレモン、夏みかん、ゆず、菜の花等とのアレンジや、亀田医療大学の学生との連携も検討する。
 これらの事項をベースに協議を進め、内容量100g、市価300円程度を想定して詳細を詰めていくこととした。また、最初の顧客ターゲットとしては地元の人ではなく、鴨川に来る観光客や亀田医療大学の学生に「鴨川」のお土産として購入してもらうことを念頭に置く。
 これらを組合の商品開発の大枠として定め、次回までに試作品を作成して、コスト管理、味、包材梱包・デザイン等について協議することになった。

 【勉強会3日目】

27-09-01 まずは地元食材を調達し調理した試作品の評価を行った。
 試作品は次の5種類である。①従来から学食メニューに利用している、アレンジ無しのもの、②鴨川産レモンでアレンジしたもの、③鴨川産柚子でアレンジしたもの、④タイム(香草)でアレンジしたもの、⑤しいらを原料にした「桜でんぶ」。
 利用する地域資源や訴求力などを総合的に検討して意見交換を行なった。その結果、②レモン入りと③柚子入りが組合が目指す地域活性化につながり、亀田医療大学の学生の帰省や観光客をターゲットにした「鴨川産」のお土産品になるのではないかとの方向性が出された。
 さらに、商品化に向けた意見交換では、流通コストや扱いやすさの観点から缶詰にすること、缶詰製造であれば地元の高校等との連携も可能であると提案があった。
 これらを踏まえた今後の行動計画として、2016年夏の商品化を当面の目標とすることにした。これは2015年の冬に鴨川産のゆずやレモンを確保し、2016年の夏に水揚げされるしいらを原料とするのが現実的だと判断したためである。しかし、それまでの期間に、レシピを完成させるための試作、亀田医療大学の学生を対象にした試食会の開催、商品のネーミングやデザインについて学生との検討、缶詰製造委託に向けた交渉、原材料や人件費を含む原価計算、原材料の仕入れルート整備、販売先開拓や広報・宣伝など、生産・販売の両面から課題解決が必要である。
 但し、商品開発の進捗に伴って国の施策活用の可能性もあり、引き続き情報収集を図っていきたい。

事業の成果

 3回の勉強会を通して、地元の食材を活かした地域貢献をしたいという組合の初志を実現できる開発の方向性を探ることができた。
 実際の商品化に向けてはまだ道のりは遠いものの、組合が得意とするレシピ開発力を活かしつつ、具体的な行動内容と実施時期が明確になったことで、課題解決を図りながら前進することができる。
 今回の商品開発では、地域素材の活用だけでなく、学生との連携・開発協力の可能性、組合メンバーの団結力やネットワークの強みなども活用でき、鴨川ならではの土産品の完成が期待できる。これからの開発動向に大いに注目したい。(有村 知里)


『中小企業ちば』平成27年9月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

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