【答】
ポイント★理事会の定足数は理事の実在数の過半数 ★下限の人数を割った場合は下限の過半数
理事会の議事は、議決に加わることができる理事(以下単に「理事」という。議決に加われないのは特別利害関係人)の過半数が出席してその過半数で決することになっています。過半数の出席が理事会の成立要件です。
この成立要件の数え方は、理事会開催日の理事の人数を基準にカウントします。理事定数が「10~12人」で10人の理事が実在し、特別利害関係人がいなければ、10人の過半数は6人以上ですから、6人が定足数になります。
理事の人数が定数の幅の範囲内であれば、実際にいる理事の数を基準にします。問題は、下限の10人を割ってしまった場合です。法律が規定する理事の最低数は3人です。極端な話、3人になってしまっても、その過半数の2人が出席すれば理事会は成立するのでしょうか。
組合で決めた定数が10~12人であるのに、3人に減ったから定数は2人だ、というのはあまりにも不自然ですから、歯止めが必要です。歯止めは、下限の定数の過半数と考えられています。下限の半数以下の理事会はあり得ないということです。理事の実在数が下限の10人を割った場合は、6人を定足数にします。
理事数が下限の10人ギリギリだったが、脱退や死亡で七人になってしまった、この場合の理事会の定足数は、7人の過半数4人ではなく10人の過半数の6人と考えるのです。
下限の数10人は組合が自ら決めた理事の最低人数です。その10人の過半数である6人の理事会ならば、通常の組合運営でもあり得ないことではありません。ですから、下限の過半数は、理事会開催の必要条件というわけです。
以下になったら理事会は開催できません。理事会を開けなければ、補充選挙の総会も開けません。そうした事態になる前に、補充選挙をするか、定数を減らす定款変更をすべきだということになります。
理事が4人残っていて全員賛成なら、成立要件は満たしていなくても可決要件をクリアしているから、問題ないではないかと言われそうですが、そもそも全員賛成を前提とした理事会はありえないと考えるべきです。
組合の分裂などで大量の組合員が脱退して、理事会開催不能の事態がまれに生じます。もし、そうなった場合は組合員が行政庁の承認を得て総会を開催し、理事の選出を行い理事会を開催できる体制を整備することになります。
(中小企業組合理事のためのQ&A/清水透著・2010年5月(新訂)第1版第1刷発行より転載)
|