官公需適格組合制度は、官公需の受注に対し意欲的であり、かつ受注した案件は、十分に責任を持って納入できる経営基盤が整備されている組合であることを中小企業庁(経済産業省)が証明する制度です。
この証明を受けられる組合は、中小企業者が組合員である事業協同組合、企業組合、協業組合等で、以下の基準を満たしていることが条件になっています。

「物品納入等」(別表1)

1.共同事業の協調性・円滑性

証明基準:組合の共同事業に関し、組合員の協調裡に円滑に行われていること。
調査事項:共同事業の遂行の状況
添付書類:a.登記簿謄本、b.定款、c.組合員名簿、d.直前2年間の共同受注事業の経歴書、e.直前2年間の脱退組合員名と脱退の理由、f.事業計画書、g.総会及び理事会の議事録 (直前2年間のもの。ただし、官公需適格組合証明申請(更新に係る証明申請を含む。)並びに共同受注体制及び共同受注事業に関するものに限る。)

2.官公需の受注に関する熱心度

証明基準:官公需の受注に関し、熱心な指導者がいること。
添付書類:組合指導者の組合事業に関連する経歴書

3.共同受注体制

証明基準:
事務局常勤役職員が1名以上いること。
共同受注担当役員が定められていること。
共同受注担当役員を含めた若干名をもって構成する共同受注委員会が設置されていること。
次の内容を有する官公需共同受注規約が定められていること。イ.組合が受注しようとする物品等の種類及び規模 ロ.共同受注に係る物品等についての具体的かつ公正な配分基準 ハ.組合の役員及び共同受注に係る案件を実施した組合員が当該案件に関し連帯して責任を負う旨。
③の共同受注委員会が適正に運営が行われ、④の共同受注規約に従って組合運営が行われていること。
共同受注した案件に関する検査体制が確立されていること。
⑦その他共同受注体制に関し、問題があると認められるものでないこと。
調査事項
証明基準の3.①に関して事務局体制の確立の状況、
証明基準の3.⑤に関して共同受注委員会の運営の状況、
証明基準の3.⑤に関して配分の状況、
証明基準の3.⑤に関して実際の責任体制の確立の状況、
証明基準の3.⑥に関して検査体制の確立の状況
添付書類:a.組合事務所一覧表、b.事務局役職員の一覧表(氏名及び担当業務、常勤・非常勤の有無、組合による雇用関係の有無、c.共同受注委員会規約、d.共同受注委員会規約制定の決議書(総会議事録)、e.官公需共同受注規約、f.官公需共同受注規約制定の決議書(総会議事録)、g.直前2年間の配分状況、h.共同受注検査規約、i.共同受注検査委員会規約(検査委員会を設置している場合)、j.第三者検査機関の検査受託証明書、k.共同受注事業についての許可、認可、登録又は届出の写し(取得している場合)

4.経理的基礎

証明基準
①組合運営を円滑に遂行するに足りる経常的収入があること。
②その他経理的基礎又は金銭的信用の面で問題があると認められるものでないこと。
添付書類:a.決算関係書類、b.収支予算書

5.その他

証明基準:
①組合又は組合員に予算決算及び会計令第71条第1項各号に該当する事実がないこと。
②以下に該当する事実がないこと。

  • 組合若しくは組合員が暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77条)第2条第2項に規定する暴力団をいう。)であること若しくは組合の役員等(代表者、理事等経営に実質的に関与している者をいう。)が暴力団員(同法第2条第6号)であること又は組合の役員等が暴力団の維持、運営に協力・関与しているなど社会的に非難されるべき関係を有していること。

③その他組合の共同事業の遂行、組合及び組合員の労働福祉の状況、社会的信用その他の面で著しい問題があると認められるものでないこと。
④官公需の受注に関し中小企業団体中央会の指導を受けていること。
調査事項
証明基準の5.①②に関して該当事実の有無
証明基準の5.④に関しての指導の状況
添付書類:要領を理解する旨及び5.①②の事項についての誓約書

<工事関係の証明基準>

1.共同事業の協調性・円滑性

証明基準
①共同受注事業を1年以上行っており、証明申請日の前1年間において、相当程度の共同受注の実績があること。
②組合の定款において、組合員が自由脱退する場合の予告期間を1年としていること。
③証明申請日の前1年間(2回目以降の申請(更新の場合を含む。以下同じ。)の場合にあっては2年間)において、組合と組合員とが同一の官公需の競争入札に応札したことがないこと。
④その他組合の共同事業に関し、組合員の協調裡に円滑に行われていること。
調査事項:該当事実の有無・共同事業の遂行の状況共同事業の遂行の状況
添付書類:a. 登記簿謄本、b. 定款、c. 組合員名簿、d. 直前2年間の工事経歴書、e. 直前2年間の脱退組合員名と脱退の理由、f. 直前2年間の脱退組合員が施工を担当した工事の名称と被配分額、g. 事業計画書、h. 総会及び理事会の議事録(直前2年間のもの。ただし、官公需適格組合証明申請(更新に係る証明申請を含む。)並びに共同受注体制及び共同受注事業に関するものに限る。)

2.官公需の受注に関する熱心度

証明基準:官公需の受注に関し、熱心な指導者がいること。
添付書類:組合指導者の組合事業に関連する経歴書

3.共同受注体制

証明基準:
① 事務局役職員が次のようであること。

  • イ.公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事であって、工事1件の請負代金の額が2,500万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあっては、5,000万円)以上のものを請け負おうとする組合にあっては、常勤役職員が2名以上おり、当該役職員のうち2名以上が技術職員であること。
  • ロ.上記以外の工事を請け負おうとする組合にあっては、事務局常勤役職員が1名以上いること。

② 組合独自の事務所を有していること。
③ 共同受注担当役員が定められていること。
④ 共同受注担当役員を含めた若干名をもって構成する呆同受注委員会が設置されていること。
⑤ ①のイに掲げる組合にあっては、組合の役員及び技術者が中心となり、共同受注に係る工事の施工の基本方針等についての総合的な企画及び調整を行う企画・調整委員会が設置されていること。
⑥ 次の内容を有する官公需共同受注規約が定められていること。

  • イ.組合が受注しようとする工事の種類及び規模
  • ロ.共同受注に係る工事についての具体的かつ公正な配分基準
  • ハ.組合技術職員が共同受注に係る工事の現場において、施工組合員の技術職員との密接な連絡の下に技術上の総合的な監督指導に当たる旨
  • ニ.組合の役員及び共同受注に係る工事を施工した組合員が当該工事に関し連帯して責任を負う旨
  • ホ.共同受注に係る工事を施工した組合員が脱退する場合には、当該案件に関し脱退後においても連帯して責任を負う旨の取決めを組合との間で交わす旨

⑦ ④の共同受注委員会及び⑤の企画・調整委員会が適正に運営が行われ、⑥の共同受注規約に従って組合運営が行われていること(2回目以降の申請の場合。)
⑧ 共同受注に係る工事に関する検査体制が確立されていること。
⑨ その他共同受注体制に関し、問題があると認められるものでないこと。

調査事項
事務局体制の確立の状況
Ⅰ.共同受注委員会の運営の状況
Ⅱ.企画・調整委員会の運営の状況
Ⅲ.配分の状況
Ⅳ.組合の技術職員による監督・指導の状況
Ⅴ.実際の責任体制の確立の状況、検査体制の確立の状況

添付書類:a.組合事務所一覧表、b.事務局役職員の一覧表(氏名及び担当業務、常勤・非常勤の有無、組合による雇用関係の有無)、c.建設業の経営業務の管理責任者の経歴書、d.技術職員の資格を証明するもの又は実務経歴、e.役職員の健康保険被保険者証の写し(又は雇用関係の有無が確認できるもの)、f.組合事務所の所有文は賃借を証する書類の写し、g.共同受注委員会規約、h.共同受注委員会規約の決議書(総会議事録)、i.企画・調整委員会規約、j.企画・調整委員会規約制定の決議書(総会議事録)、k.官公需共同受注規約、l.官公需共同受注規約制定の決議書(総会議事録)、m.直前2年間の配分状況、n.共同受注検査規約、o.共同受注検査委員会規約(検査委員会を設置している場合)、p.建設業許可書の写し(取得している場合)

4.経理的基礎

証明基準
① 組合運営を円滑に遂行するに足りる経常的収入があること。
② 自己資本、資金調達力、欠損状況その他の観点からみて工事を履行するに足りる経理的基礎を有すると認められること。
③ その他経理的基礎文は金銭的信用の面で問題があると認められるものでないこと。
添付書類:a.決算関係書類、b.収支予算書

5.その他

証明基準:
①組合又は組合員に予算決算及び会計令第71条第1項各号に該当する事実がないこと。
②以下に該当する事実がないこと。

  • 組合若しくは組合員が暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77条)第2条第2項に規定する暴力団をいう。)であること若しくは組合の役員等(代表者、理事等経営に実質的に関与している者をいう。)が暴力団員(同法第2条第6号)であること又は組合の役員等が暴力団の維持、運営に協力・関与しているなど社会的に非難されるべき関係を有していること。

③その他組合の共同事業の遂行、組合及び組合員の労働福祉の状況、社会的信用その他の面で著しい問題があると認められるものでないこと。
④官公需の受注に関し中小企業団体中央会の指導を受けていること。
調査事項
証明基準の5.①②③に関して該当事実の有無
証明基準の5.④に関しての指導の状況
添付書類:要領を理解する旨並びに1.③、5.①及び②の事項についての誓約書

業種では、物品関係(石油、書籍、印刷等)、役務関係(設計、測量、建物管理など)、工事関係(土木、建築、造園等)。このような受注体制強化等の努力により、官公需適格組合に対する発注者の信頼は次第に高まっており、年々受注実績も向上しています。


●官公需適格組合の受注体制

kankouzyu_2_01 官公需適格組合は、中小企業団体中央会の指導を受けながら、組合員全員が一体となって、受注契約を確実に履行できる技術力や施工能力等の向上と、発注期間の信頼に十分応えることの出来る責任体制を確立するため最大の努力を払っています。
 これらの組合では、共同受注委員会を設置し、共同受注規約を定め、契約した案件に対する各組合員の仕事の分担と連帯責任を明確にしています。
 特に、工事の施工に当たっては、組合自身が専従の技術者を配置し、施工監理・監督等を行うとともに、現場ごとに企画調整委員会を設けて工事が契約通りに確実に履行できる体制を整えています。
kankouzyu_2_02 また、工事等の契約案件が確実に施工されていることをチェックする検査員を置くなど検査体制も確立されていますし、工事等に関するいっさいの責任は、役員および担当した組合員が連帯してその責任を負う仕組みをとっています。このように官公需適格組合は責任ある受注体制を確立しており、発注機関に信頼される共同受注事業体となることをめざしています。


●官公需施策と組合の活用

 官公需法では「国等が契約を締結するにあたっては、予算の適正な使用に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。」と定めています。

 また、毎年度閣議で決定される「中小企業に関する国等の契約の方針」においては「国等は、法令の規定の基づく随意契約制度の活用等により、中小企業庁が証明した官公需適格組合をはじめとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする。特に、官公需適格組合制度については、各省庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関に対し、その一層の周知徹底に努めるものとする。」と定め、官公需の発注に当たって官公需適格組合を積極的に活用するよう明示しています。

 官公需の発注案件にはその種類、規模、品質、納期等から個々の中小企業者では対応できないものもありますが、組合の共同受注事業として受注すれば確実にその契約が履行できるものも多く、一件の受注によって複数の中小企業者である組合員が、共同して受注した案件を履行していることから、分離・分割発注と同じ効果をもっており、多くの中小企業者の受注機会の増大に役立ちます。

 また事業協同組合等の組合は決定の手続きを経て国や都道府県が認可し、法人化されたもので、その運営が民主的で公平であると言うことが制度上確保されており、さらに、一定の場合には、国や都道府県が指導監督できるなど信頼性の高い制度であることも、組合を積極的に活用すべきことであるとする大きな理由となっています。