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チャレンジ組合ちば 2019.2  千葉県鍼灸マッサージ協同組合

テーマ : 組合員の自由診療化に向けたネットワークシステム構築

補助事業名 平成29年度中小企業活路開拓調査・実現化事業
対象組合等 千葉県鍼灸マッサージ協同組合
  ▼組合データ
  理事長 石川 英樹
  住 所 千葉市中央区新宿 1-8-11
  設 立 平成23年4月
  業 種 療術業
  組合員 323人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 株式会社オルク・コンサルティング
代表取締役 黒田弘(中小企業診断士)

システム開発の経緯

 千葉県鍼灸マッサージ協同組合(以下、協同組合)は、県内のあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師などで組織されており、組合員の技術力向上や業務の効率化につながる様々な事業を行っています。そして、協同組合の基幹事業となっているのが、「療養費保険申請代行サービス」(以下、申請代行サービス)です。
 施術を希望される方は、医師の同意のもと、あん摩マッサージ指圧師などから施術を受けると、保険証を提示することで一部負担金の支払いのみで済みます。一方で、施術者(組合員)は保険医療機関等(以下、保険者)へ施術料の差額分(以下、療養費)の申請を行う必要があります。この申請作業を組合員に代わり行うのが申請代行サービスです。
 ちなみに、病院などの医療機関で治療を受ける場合は「治療」と言いますが、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうなどを受ける場合は「施術」と明確に区分けされています。
 申請代行サービスの大まかな流れは図表1の通りです。
 ①  保険者への申請書を組合員が作成し協同組合へ送る
 ②  協同組合は集まった申請書をまとめて、保険者へ請求する
 ③  保険者から協同組合へ療養費が支払われる
 ④  協同組合から組合員へ療養費が支払われる 協同組合は平成23年4月の設立以来、申請代行サービスを推進してきましたが、

○ 個人経営の治療院や視覚障害を持つ組合員が多く、申請書作成が大きな負担になっている
○ 組合員と協同組合間の申請書のやり取りは郵送となっており、記入ミスによる組合員への戻しなど、郵送のやり取りが発生している
○ 協同組合では申請書のチェック、療養費の組合員への振り分けなどの事務負担が増えている
○ 勘に頼った施術からデータに基づく施術へレベルアップしたい
 などの解決すべき問題点が顕在化してきました。そこで、平成25年からシステム化の検討に入りました。

システム開発への取り組み

① 1次システム
 システム化の金額は概算で2千万円ほどになり、協同組合にとっては大きな負担となります。そこで、全国中小企業団体中央会が実施している「中小企業活路開拓調査・実現化事業」の「組合等情報ネットワークシステム等開発事業」(以下、情報システム開発事業)の補助金を活用することになりました。
 申請書作成には苦労しましたが、千葉県中小企業団体中央会の支援を受け、平成26年度の情報化システム開発事業の採択を取り付けることができました。
 その結果、鍼灸マッサージネットワークシステム(以下、鍼灸ネットワークシステム)の開発が平成26年7月から始まり、翌年2月から本稼働に入りました。
 新しい業務の流れは図表2の通りです。

鍼灸ネットワークシステムでは、
○ システム及びデータ管理はクラウドサービスを利用し、運用管理の省力化を狙う
○ 申請書作成負荷軽減を図る
○ 協同組合事務局の負荷軽減を図る
○ カルテ管理を効率化するなどを目指し、すべて実現ができました。また、視覚障害者に優しいシステムを目指して、音声入力や読み上げ機能も追加しました。
 その結果、組合員が、平成27年3月313名から、平成29年3月323名と、順調に増加しました。

② 2次システム
 システムが順調に稼働を続ける一方で、自由診療を行う治療院からはシステムの使い難さが指摘され始めました。
 これは、鍼灸ネットワークシステムは、保険診療に重きを置いており、自由診療の機能も装備されていたものの、不完全だったからです。そのため、自由診療のみ行う治療院に限らず、自由・保険両診療を行う治療院も、その使い勝手の悪さが原因で利用を断念するケースも出てきました。
 そこで、自由診療機能の大幅拡張と1次システムでは見送られた機能の実現を目指した2次システム開発の検討に入りました。そして、平成28年に基本設計、平成29年に開発と2年続けて情報システム開発事業の申請を行い、幸いにも採択されました。
 基本設計、開発共に順調に推移し、平成30年1月から本稼働に入りました。

事業の成果

 鍼灸ネットワークシステムの開発・導入により様々な効果が出ましたが、とりわけ顕著なものは次の4点です。
 ①  治療院の事務負担が軽減され、本来の施術業務に専念できるようになった
 ②  協同組合の事務負担が軽減され、組合員へのサービスが向上した
 ③  治療院では勘による施術からデータに基づく施術に変化し、顧客の信頼が増加した
 ④  組合員の増加により、協同組合の手数料収入が増加した

今後の事業展開・展望

 嬉しいことに組合員から、
 「システムを利用するようになってお客さんが増えた」
 との声を聞くようになりました。
 「施術履歴を見ながらより適切な対応ができるようになったからかな」
 との感想も聞いています。システムの狙いの一つである、勘に頼る施術からの脱却が進んでいる良い兆候だと思います。
 協同組合の最終目標は、組合員の経営力向上です。今回の鍼灸ネットワークシステムは、保険診療や自由診療の効率化・省力化を通して、一つの試金石となりましたが、これで終わりではありません。
 治療院内の作業改善や事務改善を通して、更なる経営力向上を目指したいと考えています。そのため、定期的なアンケートや治療院内調査を実施し、問題点を抽出し、課題解決のためのシステム化を継続していきたいと考えています。

(中小企業診断士 黒田 弘)


『中小企業ちば』平成31年2月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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