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チャレンジ組合ちば 2015.01  千葉県豆腐商工組合

テーマ : 魅力ある豆腐業界の現状と問題点について ~ 5 年先、10 年先を見据え、今出来ることを考える~

補助事業名 平成25年度組合等新分野開拓支援事業
対象組合等 千葉県豆腐商工組合
  ▼組合データ
  理事長 木達 満
  住 所 千葉市稲毛区長沼原町656-1
  設 立 昭和26年7月
  業 種 他に分類されない食品製造業
  組合員 149人(平成25年6月現在)
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 食と農研究所 加藤 寛昭(中小企業診断士)

背景と目的

 千葉県豆腐商工組合の青年部から、「現在の当業界における現状には厳しいものがある。部会では定期的に勉強会を開催する等を通して課題への対応を話合っているが専門家からの話も聞いてみたい。同時に新製品開発についてもアドバイスが欲しい」とのご依頼で研修会を開催した。

①業界を取り巻く環境の確認

 そこで先ず手はじめに、参加者全員の現状に対する認識のベクトル合わせを図るために、豆腐業界についてのファイブフォース分析を行い次のような結論に至った。
 ちなみに当業界は、いわゆる分野調整法により、大企業の参入は阻止され保護されていることが特長として指摘できる。従って他業界のように、新規参入者の脅威はあまり大きくはなかったと言える。現在では、同業者の中から大規模化を実現している企業も出て来ており業者間での競争が避けられない状況になっている。 
 原材料の高騰や、主原料の大豆は90%以上が輸入に頼っており供給業者から受ける脅威は大と言える。更に当業界にとって、最大の脅威は顧客、それも巨大化するスーパーマーケット等の流通業者からの脅威が最大のものであり、それへの対応が急務であるとの共通認識に至った。

②店頭調査から分かったこと

 次いでスーパーマーケットの店頭で豆腐の品揃えがどんな状況であるかを見るために、4店舗で市場調査を行った。下の図表はAチェーンストアの八千代店での調査結果である。此処に提示した調査結果は1社のみであるが、他の3社もほぼ同じような傾向がみられた。すなわち、
 1 .豆腐の取扱アイテム数は33から35の間であった。また、メーカーの数は10社から11社とこちらもほぼ同数となっていた。
 2 .PB商品もしくは準PB商品の売価は一丁が20円代、30円代と極端に安い(赤字の商品)。
 27-01-013 .いずれの店舗も主力メーカーを選定しており、そこに品揃えを集中している(商品企画力が求められている)
 4 .品揃えとして高級品とかごま豆腐といったような商品も少数ではあるが陳列されている。但し、それらの商品はいわゆる有名地域ブランド品が多い。
 5.主力品は近郊のメーカー品
 6 .100gから150g位の小容量サイズの品揃えが目立った。
  これは、家庭の少人数化に対応したものと推測できる。
 以上環境分析と店頭調査の結果を踏まえて、当組合の当面の課題は、新商品開発にあるとの意見に集約した。

製品開発に必要な戦略的思考

①M社の納豆拡大戦略に学ぶ

 一口に新商品開発といっても、豆腐は昔から存在する商品であり、新しい切り口を見つけることは難しい。そのため適切な事例をみつけて研究することで、開発に向かってのヒントを探すこととした。
 その事例として、豆腐と同様に伝統的で日本人になじみが深い納豆で大成功を収めているM社の製品開発手法に着目して研究を進めることとした。

②M社の差別化戦略の内容

 M社はもともとお酢のメーカーでありその業界ではトップブランドメーカーである。しかしながら納豆は後発メーカーでもあり市場において主力メーカーとしての地位は確保できていなかった。従って納豆市場でのマーケットシェア―は長年、T社が圧倒的に高い地位を占有していた。しかしながらM社の「超やわらか納豆・とろっ豆」の市場導入を契機に、成熟市場がゆえに新製品開発が難しいと言われた市場において、一気にT社と同じ位のマーケットシェアを確保するにいたった。そこでその成功の要因を探るべくT社商品とM社商品のうちそれぞれトップ2の商品を購入し徹底的に比較分析を皆で行い、たくさんの相違点を発見した。

③ 判明したマーケティング上の特長

・パッケージについて
 先ずT社の基本色調が伝統的な赤色が主体であるのに対して、M社は納豆のイメージに近い黄色に近い色調となっている。また、デザインは子供が興味を持ちそうな漫画的なものであり、ネーミングも前述したように「超やわらか納豆とろっ豆」と遊び心一杯のネーミングである。
 ・容器について
 M社商品はパッケージのフィルムをはずすと、容器の天面に賞味期限表示の刻印があり消費者が一目で分かり易くなっている。ふたを開け易くするために、爪を差し込むための切り込みも付けてあり細かい配慮の跡が見える。また、容器の底を比較すると、M社の商品は四隅の角が尖っておらず丸くしてある。これは、箸でかき混ぜるときに豆粒が隅に入ってしまわない配慮としての工夫と推測した。
 次いで、ふたを開けると競合のT社商品には納豆のうえに乾燥防止のための薄いフィルムが載せてある。また、たれとからしの小袋が載せてあるが、M社商品にはそれらが見当たらない。従来は、食べるときにこのフィルムを取り除く際に、納豆のネバネバが手に着いたり、小袋を開けるときにたれが飛び散ったりして〝いや〟な思いをすることがあったが、そうした不具合を改善し、使用性を高めている。更に、M社商品は、たれがジュレタイプ(現在は違う)になっており、小袋を開ける手間とか手が汚れないといった利便性の確保への努力が感じられた。
 ・内容物(豆)について
 M社の商品は豆が小粒で、T社商品よりやわらかく、そして納豆特有の臭いがあまりしない。味は従来の商品より甘くなっている。
 最後に気になる店頭での売価を比較すると、1パック当たりの容量・個数は両社とも45g×3で同じであるが、T社は77円、M社の物は97円と20円もの開きがあることがわかった。この違いは、両社の販売戦略の違いによるものであると思われる。

④ ポジショニングの明確化と競争戦略

 以上のことからM社では、いわゆる既存のユーザーには従来と比較して開封性や使用性の向上等で、また独特な臭いが嫌で食べなかった人や、子供に向けては臭いが薄い納豆菌の採用や子供をターゲットにしたパッケージでマーケティング展開を図っており、競争戦略として最も効果的と言われる価格競争には慎重な姿勢を取っていることが分かった。

個の力は小さくても結集すれば大きくなる

 成熟市場にあって、M社のような差別化戦略に基づく商品開発とその市場展開方法はおおいに参考にしたい。しかしながら、川下である流通業者の巨大化に伴うバイイングパワーに対抗するには我々自身もそれに対応できるだけの規模の拡大も要求されるところである。すでに、当業界でも資材、原料等の購入に際して協業化が進められているが、今後は製品開発や販路開拓等においても一層の協業化を推進して個の力を大きな力にするべく結集することも検討に値すると思われる。(加藤 寛昭)


『中小企業ちば』平成27年1月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

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