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チャレンジ組合ちば 2015.05  千葉総合卸商業団地協同組合

テーマ : BCP(事業継続計画)の必要性と策定方法について

補助事業名 平成26年度連携組織活性化研究会
対象組合等 千葉総合卸商業団地協同組合
  ▼組合データ
  理事長 石田 一太郎
  住 所 千葉市中央区問屋町1-55
  設 立 昭和42年 7月
  業 種 卸売業中心の異業種
  組合員 22人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 有限会社バリュー・コンサルティング
代表取締役 安藤 孝(中小企業診断士)

背景と目的

①千葉総合卸商業協同組合

 千葉総合卸商業協同組合は昭和42年7月に結成され、その後昭和46年2月に卸団地が完成し、現在地に集積が行われた。現在の組合員数は22名(平成26年度末)であり、主な事業内容は共同施設・共同事業運営(共同宣伝広告、貸店舗・駐車場運営等)、教育事業、福利厚生事業、情報収集・提供事業等である。組合員の取扱商品は多種であり、食品、衣料品、文具・事務機、靴・履物等がある。役員8名、職員3名の体制で組合運営が行われている。

②BCP研究会の背景・目的

・BCP(Business ContinuityPlan 事業継続計画)とは「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段等を取り決めておく計画のこと(*中小企業庁BCP策定運用指針)」を言う。BCPの考え方は欧米の企業では危機管理の一環として存在していたが、2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロにおいて、BCPの有効性が確認され、その後企業等に普及したものである。災害の多い我が国においてもBCPの必要性が叫ばれているが、中小企業におけるBCP策定率は6.5 %(平成23年帝国データバンクアンケート調査)に止まっており大きな問題となっている。
 *中小企業庁BCP策定運用指針(以下、指針と言う)
  平成18年に中小企業向けに中小企業庁から発表されたBCP策定のガイドライン。
 ・BCP研究会の目的
 当組合の組合員企業のBCP策定のレベルは企業ごとにばらつきがあり、完全にBCP対策を行っている企業は無く、ほとんどが個別の防災対策のみを実施している。
 今回の研究会ではBCPという観点から、現在行っている個別防災対策を見直すと共に、BCPの策定方法を研究し、策定の足掛かりをつけることが目的である。

事業の活動内容

27-05-01①研究会の実施概要

 今回の研究会は以下の通り3回に亙って実施した。各回とも社長会(組合員企業の社長による会議)の後に実施し、各企業役員を中心に組合員企業等から約10名の参加者があった。

②第一回 BCPとは、必要性

 第一回の研究会の主な内容は、BCPの意義、目的、BCPの構成等の基本的事項を理解することである。何故BCPの策定が必要なのか。当然のことながら、自社を存続させ顧客の信用を守り、従業員を守ることが第一義であるが、最近はサプライチェーンを途絶させないことが重要であると言われる。主に自動車や電機部品の製造業について言われているが、卸売業においても、物流を維持し、商品供給を途絶させないと言う社会的要請に答えることが必要である。このため中小卸売業においてもBCPの策定が求められている。
 BCPは初動対応計画、事業継続計画、事業復旧計画、事前対策計画、教育訓練・維持管理計画の5つの計画から構成されている。最初の3つは、災害が発生した場合、初動対応→事業継続→事業復旧と言うように順次実行されるものであり、重要な計画である。事前対策計画は代替資源準備計画及び従来から行われている防災対策であり、教育訓練・維持管理計画はBCP教育やBCP訓練及び計画自体の見直し・更新を言う。第一回においては初動対応計画(避難誘導、安否確認、BCP対応組織、帰宅困難者対策等)について研修を行った。

③第二回 BCPの策定

 第二回の研究会では中小企業庁の指針に基づいてBCP策定方法(上記の5つの計画のうち事業継続計画、事業復旧計画)について学んだ。この計画は、どの事業・業務を、どのくらいの期間で、どのレベルまで、どのように復旧するかを計画しておくものである。
 中小企業庁の指針においては、①基本方針設定、②事業を理解する、③事前対策(代替資源対策)④BCPを策定する、の4手順で計画策定を行う。
 「①基本方針設定」は企業として宣言であり、自社のBCPに対する経営方針ともいえる。ここでは従業員、顧客、地域社会を意識した方針を設定する。「②事業を理解する」はどの事業・業務を対象とするかを検討するものであり、中核事業を決め、その重要業務を抽出し、そこで使用する経営資源を定義する。これらの経営資源に対して、想定する災害の種類や大きさに応じて想定されるリスクを評価する。リスク評価の基準の一つが「目標復旧時間」である。リスク評価の結果、企業経営に重要な影響を与えるリスクに対して「③事前対策(代替資源対策)」が必要であり、指針に示された7つの資源(例えば連絡拠点となる場所、被災する可能性のある施設や設備等)の代替策を学習した。「④BCPを策定する」はBCPを文書化するもので、指針に示されたサンプルを確認した。
 今回、研究会においては題材として「鳥取県企業BCPモデル(卸売業版)(鳥取県商工労働部商工政策室)卸売業モデル」の事例も参考にして研究した。

④ 第三回 BCP 教育訓練・維持管理計画、事前対策計画

 第三回研究会の「教育訓練及び維持管理計画」は中小企業庁の指針では「BCP文化を定着させる」「BCPのテスト、維持、更新を行う」の各章に記載されている。BCPそれ自体は文書化された資料であり、これを実際の災害時に活用できるようにするためには日ごろから従業員がBCPを意識し、訓練しておくことが重要である。
 また、一度作成したBCPはその内容(例えば連絡網等)は最新のものにしておかないと、緊急時に役立たない。定期的に見直し、更新しておく必要がある。
 「事前対策計画」は主に個別防災対策であり、耐震補強等のハード面及び安否確認システム等のソフト面の両面からの対策を学んだ。

事業の成果

 前述したように現時点において組合員企業は食料や水の備蓄等の個別防災対策は行っているが、BCP(事業継続計画)についてはその必要性について懐疑的であった。しかし今回の研究会を通して、BCP策定の必要性は理解されたものと思う。また自社の防災対策やBCPについて、強いところ・弱いところを認識し、今後のBCPを考えていく上での指針となったことも成果であろう。

今後の課題

 前記のBCPの5つの計画のうち「事業継続計画」及び「事業復旧計画」に関する計画策定、すなわち中核事業や重要資源を意識したリスクアセスメントを通してのBCPは多くの中小企業にとって今後の課題であろう。
 重要なことは、事業継続を念頭に置いて、緊急時の人や設備、在庫等の代替資源の準備を計画的に行うことであり、それらを日常業務の中に組み入れていくことが必要となる。(安藤 孝)


『中小企業ちば』平成27年5月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

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