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連携組織の活性化・共同事業等に意欲的に取り組んでいる県内の組合事例のご紹介


テーマ : 特産品開発におけるポイント及び手順について
補助事業名 連携組織活性化研究会
対象組合等 茂原銘産品研究会
  ▼グループデータ
  会 長 麻生 正視
  住 所 茂原市茂原 443茂原商工会議所内
  設 立 平成 23年 1月
  業 種 異業種
  会 員 団体等 10名
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(043-242-3277)
専門家 株式会社ノウハウバンク 代表取締役 三科 公孝
 
背 景

 

 きっかけは千葉国体だった。
茂原市で開催された競技(バレーボール)において全国から選手、関係者、応援など、多くの方が茂原市を訪れた。その際、茂原市の地元ならではのお土産を買い求めたいという方がたくさんいた。しかし駅売店や小売店舗には、茂原の特産品がない。買いたかったが残念だ、との声が数多く聞かれた。
これがきっかけとなって、茂原ならではの銘産品が必要ではないかという機運が高まり、銘産品開発プロジェクトが立ち上がった。名称は茂原市銘産品研究会。そしてプロジェクトが始まった。

 

最初の障害


 茂原銘産品研究会にとって最初の問題は、時間であった。研究会の趣旨、メンバーが決まり、外部専門家が決まるなど、スタート準備が整ったのが本年一月の中旬。
そして銘産品開発の期限として区切られたゴールは、茂原市の花形イベントである七夕祭りだった。
人口約九万人の茂原市において、七夕まつりの集客は三日間で八十五万人。この大イベントで新生、茂原銘産品をお披露目することになっていた。また九月には、茂原商工会議所の六十周年式典が行われる。式典のご来賓の方々のお土産として、銘産品をお持ち帰りいただく予定となっている。そのためには、三月の年度内に、商品が概ね完成している必要があった。
それまでの期間は二ヶ月半。
通常は十二ケ月かける銘産品開発プロジェクトをたった、二か月半で進める必要がある。さて期限までに銘産品ができ上がるのか、これが一つ目の障害であった。


目 的


通常であれば商品開発が目的となるのであろうが、本プロジェクトの目的は商品開発ではない。
目的はズバリ、地元(茂原市)の活性化である。その目的達成のための手段が「銘産品開発、販売」であった。
私は全国をまわる中で、全国には数多くの銘産品があり、そしてその中で売れているものはほんの一握りでしかないことを実感している。いかに売れない銘産品が多いことか。銘産品の開発には成功しても、その銘産品が順調に売れ、売上・利益を地元にもたらせなければ何の意味もない。さらには、商品がヒットし、生産ラインを増設し、雇用を増やすことも目的である。さらには結果として、地元により多くの税収をもたらす。これも目的である。この目的を達成できる力強い銘産品を開発することが狙いとするところであった。


第二の障害


銘産品開発を方程式で表すとすればこうなる。
〈有望地域資源の決定〉×〈加工方法の決定〉=ヒット商品
銘産品開発のスタートは、有望な地域資源の決定から。数ある地域資源の中で、何が有望で、何が有望でないかを図る尺度となるのがノウハウである。銘産品開発における第一ノウハウは、〈一番化〉だ。一番化という切り口で茂原市をリサーチすると、明確に一番、それも全国で一番といえるものがあるにはあった。しかしそれは銘産品には不向きな天然ガスであった。天然ガスでは市場性は広げにくいという議論の結果、次に銘産品のコンセプトとして登場したのが「七夕」である。七夕の街として、茂原市全体の町おこしを行い、銘産品もその一環として位置づける。その七夕銘産品は一年を通して製造、販売を行う方針である。
茂原七夕は前述のとおり、盛大な祭りである。しかし一番化という観点でみると、他地域と比べて一番を明確にすることが困難であった。それは以下のとおりである。

調査1「七夕祭りの集客」

 二百万人以上の都市 宮城県仙台市、神奈川県平塚市
百万人以上の都市 愛知県安城市、愛知県一宮市
五十万人以上の都市 千葉県茂原市(八十万人)、静岡県清水市

調査2「祭りの歴史」

 昭和二十年代スタートの都市
宮城県仙台市  昭和二十一年
神奈川県平塚市 昭和二十六年
群馬県前橋市  昭和二十六年
静岡県清水市  昭和二十八年

 昭和三十年代
千葉県茂原市  昭和三十年
愛知県安城市  昭和三十年
愛知県一宮市  昭和三十一年(出展資料により一年の誤差有)
このように茂原七夕は、非常に盛大なイベントではあるが、一番化としては、難しい面があった。


問題解決。その道のり


七夕をコンセプトとした茂原銘産品の開発は無理なのか。しかしコンセプトを差し戻して、再度打ち合わせするにも、時間はない。時間は限られているのだ。そこでマーケティングの第二ノウハウへと舵を切る。第二法則は〈カテゴリーの法則(一番になれる領域がなければ、一番になれそうな領域を自分でつくればよい)〉。茂原七夕がオンリーワンとなれるカテゴリーづくりである。様々な角度からリサーチを進めた。その結果、期待を持てるカテゴリーを探し出すことに成功した。それは「歴史性」である。前述のとおり、今現在へと続く祭りの歴史では、勝ち目がない。ここでいう歴史性とは、祭りの歴史ではなく、習俗・風習の歴史である。茂原観光協会のホームページに載っていた「かやかや馬(七夕馬)」の記事が、問題突破のきっかけとなった。
かやかや馬/「かやかや馬」は茂原の七夕馬の別名。江戸時代に大芝村(現・茂原市大芝)でつくられたのが最初です。八月七日の七夕祭りの時期を迎えると、七夕馬を作る作業に追われました。材料は真菰(まこも)、蒲(がま)、菅(すげ)などの麦わらで、それぞれの草の自然の色合いを組み合わせてつくります。できあがった馬は、こどもたちがつくった手づくりの車に乗せ、カラコロと村中を引き回しました。昭和三十年代ごろから姿を消し、現在はこの風物を見ることはできません。

 

 かやかや馬を茂原七夕の象徴とすることで、茂原市は歴史性でオンリーワンとなる。オンリーワンが明確なら、そのコンセプトは非常に有望だ。実際、茂原銘産品開発研究会は、この後奇跡的なスピードで進んでいった。ボトルネックを解消するとはこういうことである。その後の決定は以下の通り、

「五色使った巻物(ロール)で、県内産品を一点以上使用した和・洋菓子」

・ 商品は巻物(ロール)状:七夕の主役織姫の織った織物、反物

・ 地場産品(県内)素材:もう一人の主役彦星の職業は牛飼い。なら彦星牛乳はどう、という意見から房総産ミルクの使用、県内産素材使用と進んでいった。

・七夕(五色):赤青黄白黒(紫)


有終の美


三月八日、研究会の最終回。この日会場は、どよめきに包まれた。その一つが五色の短冊と同じ赤青黄白黒のロールケーキだった。研究会の麻生会長が持参した一品である。ビジュアル、味ともに感動であった。そしてもう一つが商工会議所秋葉会頭からの話であった。「七夕の街」茂原市として圏央道の茂原市の看板のマークが七夕になる予定であることが発表された。他にも市内の様々なランドマークが一年を通して七夕で彩られることが決定したという話であった。
「七夕の街茂原」を全国に広めるべく、今後全国に流通するのが七夕スイーツである。
様々な障害を乗り越え、茂原銘産品は順調に開発の道のりをひた走っている。
研究会メンバーの皆さん、お疲れ様でした。お世話になりました。ありがとうございます。(三科 公孝)

 


『中小企業ちば』平成23年8月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)
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